イギリス軍、退役予定のウォーリア歩兵戦闘車の無人地雷除去車化を計画

British Army

イギリス国防省は、老朽化し、退役予定となっているウォーリア歩兵戦闘車(Warrior IFV)を、遠隔操作可能な無人地雷除去プラットフォームへと転用する野心的なプロジェクトを計画しています。これは、高リスクな工兵任務において、消耗可能な兵器能力を確保するための革新的な試みであり、国防省の「自律無人地上プラットフォーム構築プロジェクト(Project ATTILA)」の一環として推進されています。退役が予定されている装甲歩兵戦闘車「ウォーリア(Warrior)」を、地雷原突破用の無人/遠隔操作可能な地上車両(UGV)へと転用することで、既存資産の活用と新しい無人技術の迅速な導入が図られます。

このプロジェクトでは、まず最大6両のウォーリアが改修対象となります。これらの車両には、地雷除去用のプラウやローラーといった前面装備が追加され、オプション操作型システムが搭載されます。これにより、引き続き歩兵戦闘車として兵員の輸送や乗員による操作が可能である一方で、遠隔操作機能が追加され、無人での運用も可能となります。この能力は、危険な地雷原を機械化部隊が突破する上で不可欠なものとなるでしょう。現在、国防省はこのプロジェクトに参画する企業を募っており、契約額は1500万ポンド(約30億円)とされています。プロジェクトは2026年1月1日から2028年3月31日までの期間で実施される予定です。

ウォーリア歩兵戦闘車(Warrior IFV)

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ウォーリア歩兵戦闘車(Warrior IFV)は、GKN Defence(現在のBAEシステムズ)によって開発され、1987年にイギリス陸軍での配備が開始されました。冷戦期において、旧ソ連の歩兵戦闘車BMPシリーズに対抗するために設計されたこの車両は、歩兵を装甲で保護しつつ、戦車と並走できる機動力と火力を持つことを目指して開発されました。

ウォーリアの主なスペックは以下の通りです。

  • 重量: 約25.4トン
  • 全長: 6.34 m
  • : 3.0 m
  • 高さ: 2.8 m
  • 乗員: 3名(車長、砲手、操縦手)に加えて歩兵7名
  • エンジン: Perkins CV8 ディーゼル(550 hp)
  • 速度: 最高約75 km/h
  • 航続距離: 約660 km

武装面では、主砲として30mm RARDEN機関砲を搭載しており、有効射程は約1500mです。この砲は低反動で正確な射撃が可能ですが、単発式でフルオート射撃ができないため、BMPや米国のブラッドレーと比較して制圧力に劣ると評価されることもあります。副武装には7.62mm L94A1同軸機関銃が備えられ、一部の車両は対戦車ミサイルを搭載できるように改修されています。防御力については、チャレンジャー戦車にも使用されているチョバムアーマーや爆発反応装甲の追加により強固な防護力を持っていますが、イラク戦争やアフガニスタン戦争においては、IEDやRPG攻撃に対して脆弱な点が露呈しました。

イギリス国防省は過去にウォーリアの改良を決定し、「Warrior Capability Sustainment Programme(WCSP)」を計画していました。この計画では、40mm CTA機関砲の搭載、電子機器・センサーの更新、装甲強化が目指されましたが、開発の遅延とコスト増大により2021年に中止されました。ウォーリアの近代化計画は頓挫し、代替としてBoxer装輪装甲車の導入が決定されています。

2024年5月時点で、イギリス陸軍は632両のウォーリアを保有していると確認されていますが、既に段階的な退役が始まっており、直近でも80両の退役が予定されています。全てのウォーリアは2030年代までに退役する見込みです。

しかし、今回の無人車両化プロジェクトが成功すれば、数十両ものウォーリアが退役を免れ、地雷除去車としてその役割を継続する可能性があります。世界的に見ても、地雷原突破や危険作業のために消耗可能な無人車両を導入するトレンドは進んでおり、イギリスにとってもこのプロジェクトは「戦場の工兵支援を低コストかつ安全に行う革新的なモデル」となり得ます。イギリス国防省は、この取り組みを通じて、将来の無人地上兵器ポートフォリオへの橋渡しを狙っており、軍事技術の柔軟かつ持続可能な方向性を象徴するものとして位置づけています。

イギリス軍、退役予定のウォーリア歩兵戦闘車の無人地雷除去車化を計画
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