ブッシュマスター装甲車|陸上自衛隊も採用するMRAP

ブッシュマスター装甲車|陸上自衛隊も採用するMRAP
写真 Thales

ブッシュマスター4×4装甲車は陸上自衛隊が輸送防護車の名目で採用した装輪装甲車で、地雷や仕掛け爆弾に耐えれるMRAPでもあります。

概要

ブッシュマスターはオーストラリアのタレス・オーストラリア(旧ADI)社製の4×4耐地雷装甲車で、オーストラリア特有の砂漠地帯や山岳地帯での運用に最適化するように開発されました。オーストラリア陸軍は、氷点下の山岳地帯からオーストラリア北部の砂漠や熱帯の条件まで、極端な気候条件や地形で数千キロメートルにわたって車両をテストし、合格。最初のバッチは2002年7月、オーストラリア陸軍はADIに軍隊輸送、救急車、直火、迫撃砲、技術者、指揮官の6つのバリエーションの300台のブッシュマスター歩兵機動車の契約を交わしました。

快適な車内

ブッシュマスター装甲車|陸上自衛隊も採用するMRAP
写真 Thales

ブッシュマスターは最大10人(内操縦士1名)の兵員を輸送するように設計されています。1415mmのヘッドルームを備えたキャビンには、8つの対面式シートと、4点式ハーネスシートベルトが装備されています。個人用武器保管エリア、ミッション機器保管、ラジオスイートインターホン、および各乗員席位置への分割空調システムがあります。車内のエンジン騒音は抑えらるなど人間工学に基づき設計されており、過酷な環境下での長時間移動でも快適に移動、乗組員の疲労を最小限に抑えるよう設計されています。キャビンには、待ち伏せ攻撃からの保護と代替の脱出ルートを提供するために、ロックハンドル付きの3つのルーフハッチが取り付けられています。C-130ヘラクレスといった大型輸送機に搭載輸送可能です。

機動力

エンジンは300馬力のキャタピラー 3126E 7.2L6気筒ターボチャージド・ディーゼルブッシュマスターエンジンを搭載。最大速度は100km/hで航続距離は800km以上です。またプッシュボタン制御のタイヤ空気圧システムを使用して、移動中に地形のタイプに合わせてタイヤの空気圧を調整し、パンクを防ぎます。パワーパック(エンジン、オートマチックトランスミッション、冷却システム)は、特別な工具なしで現場で簡単に交換できるなどメンテナンス性にも優れています。

武装

ブッシュマスター装甲車|陸上自衛隊も採用するMRAP
Photo australian army

前方中央のルーフハッチには、5.56mmまたは12.7mm機関銃が配置できる武器マウントがあります。遠隔リモートウェポンステーションRaven-R400の搭載も可能です。

MRAP仕様

本格的に配備されるきっかけになったのはオーストラリアが米国側の多国籍軍と参加した2001年のアフガニスタン紛争とその後のイラク戦争以降になります。この両戦争ではIEDと呼ばれる路上の仕掛け爆弾によってハンヴィーや装甲車、そして乗車する多くの兵士を失うことになります。ブッシュマスターは中東での新たな脅威に対抗するMRAPと呼ばれる「耐地雷待ち伏せ防護」が施された車輛になります。装甲で保護されたモノコックは、クレイモア、対戦車地雷、対人地雷、迫撃砲、IED(即席爆発装置)の爆風から保護し、V字型の車体は爆風をそらし、床下にある270リットルの飲料水タンクが爆風を軽減します。燃料タンクと油圧タンクは、車内の火災を最小限に抑えるためにキャビンの外に配置するなど、さまざま対策が施されています。

陸上自衛隊が採用

陸上自衛隊 ブッシュマスター装甲車
写真 陸上自衛隊

2013年1月のアルジェリアの日系プラントで起きた人質事件がきっかけで、海外での邦人の安全な陸上輸送を目的に輸送防護車として2014年4月に陸上自衛隊初のMRAP仕様の装甲車として4輌を購入、2016年に4輌を追加し、現在、計8輌を所有しています。配備部隊は海外派遣や国内有事の際の緊急展開部隊である中央即応連隊(宇都宮駐屯地)になります。

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