一部報道によれば、いすゞ自動車のピックアップトラックが2024年からウクライナで組立が開始されると伝えられている。
ウクライナの軍事メディアMilitarnyiはAuto-Consultingの報道を引用する形でウクライナが今年、軍が必要としているピックアップトラック 「ISUZU D-Max」 の組み立てを国内で開始する予定であることを伝えた。アタマン・エンタープライズ監査役会のオレクサンドル・ドロシュ会長は、ウクライナ軍が必要とする車両を組み立てる際、ウクライナ中部にあるチェルカッスイのアタマン・バス工場が同社の拠点となることを明らかにした。2023年にアマタン・バスはバス約500台とトラック350台を生産したという。
アマタン・バスは1999年からいすゞの正規代理店、製造パートナーとして20年以上のパートナーシップを築いてきた。バスの製造から始まり、次にトラックと徐々に車種を拡大。2020年からはD-Maxの販売を開始した。バスについては67%、トラックについては30%が現地生産化されているが、D-Maxについては組み立てと報じられているので、いすゞ関連の周辺工場からある程度完成された部品を集めてノックダウン方式で生産されると思われる。同工場は2023年に生産量を20%増やし、侵攻前の生産量に戻りつつある。2024年の生産計画はさらに増やし、バス600台、トラック500台を予定しているがD-Maxの生産台数は明らかにされていない。ドロシュ氏は、同工場では現在400人いる従業員を更に増強し、いすゞの組立ラインの安定性を確保するために60人のスタッフを追加雇用すると述べている。この件について、今のところ”いすゞ”から特に発表はない。
ISUZU D-Max
2019年10月に登場したピックアップトラック「D-Max」は”いすゞ”のグローバル戦略車として、アジア、欧州、中東、アフリカ、中南米、オセアニアなど100ヶ国以上の国と地域で販売されており、2022年度のグローバル販売台数は約34万台に達する。現在の最新モデルは3代目になる。
D-Maxは積載量1トンの小型ピックアップトラックで、重機関銃や迫撃砲といった重火器の搭載にも耐えうる強度を持っている。ウクライナで生産されるモデルは最大163馬力の1.9リッターターボ・ディーゼルエンジンが搭載されており、時速100km の走行が可能。高い走破性で狭い通路やでこぼこした道路も難なく走行できる。D-Maxは侵攻前からウクライナ警察など、法執行機関に採用されており、侵攻後はその性能から戦闘・支援車両として使用されている。ウクライナ軍ではTOYOTA、三菱、日産など数多くの日系メーカーのピックアップトラックが使用されているが、これらは公式に日本政府、メーカーから供与されたものではない。