欧州6か国がスウェーデン製のCV90の共同調達に署名

NATO

フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、リトアニア、エストニア、オランダの欧州6カ国は、CV90装甲歩兵戦闘車両(IFV)の共同調達に関する意向表明書に署名した。本年4月にはスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、リトアニアが既にCV90の共同調達する旨を表明しており、今回の署名により、更に2カ国が加わることとなった。6カ国は共同調達を通じて、歩兵火力及び機動性の強化、部隊間の相互運用性向上、並びに供給安定の確保を図る。

Finland, Sweden, Norway, Lithuania, Estonia and the Netherlands look into joint procurement of armoured infantry fighting vehicles

2025年6月5日、ベルギーのブリュッセルで開催されたNATO防衛相会合において、上記6カ国は共同装甲戦闘車導入に向けた意向表明書(Statement of Intent)に署名した。その目的は、歩兵の火力及び機動力の向上、退役予定装備の更新、そして現在の安全保障環境下における戦闘車両の大幅な増強であり、政府防衛報告書の趣旨に沿ったものである。調達対象には戦闘車両に加え、訓練用装備、スペアパーツ、弾薬も含まれる。共同調達は、数量メリット、互換性、相互運用性、並びに供給の安全性を促進する。この署名に基づき、6カ国はCV90歩兵戦闘車の共同調達プロジェクトを開始する。

フィンランドのアンティ・ハッカネン国防大臣は、「陸軍の将来能力を考慮する際、主要装備品の購入においては、品質と能力を損なうことなく費用対効果を追求するために協力することが重要である。実現すれば、新型装甲歩兵戦闘車の購入は、能力と資金の両面でフィンランドにとって最大かつ最も重要な国防プロジェクトの一つとなる。本プロジェクトは数十億ユーロ規模となる。フィンランドの国防に関する具体的な取り決めにおいて、このような協力が重要であることを強調したい。我々は、まさに適切な時期に共同調達の可能性を検討している」と述べた。

調達が見込まれるスウェーデン製CV90装甲戦闘車は、開発元のスウェーデンが550両、隣国のノルウェー、フィンランドがそれぞれ100両程度、エストニアが80両、オランダが150両程度を既に保有している。CV90採用国に新たに加わるのはリトアニアのみである。今回の共同調達署名により、6カ国はCV90 MkIII/MkIVといった最新バージョンの追加調達と既存車両のバージョンアップを行う。各国が何両を購入するかは未だ明らかにされていないが、共同調達に伴う最初の納入は2028年を予定している。

CV90はスウェーデン製であるが、各国で改修やサポート契約を締結する計画であり、産業基盤への貢献も期待されている。また、単なる共通車両の導入に留まらず、訓練支援、部品サプライ体制、弾薬・整備インフラも一体で共通化・整備する予定である。将来的に共同でウクライナへ提供することも検討されている。ウクライナには既に50両のCV90が供与されており、更に40両が追加で供与されることが決定している。

今回の装甲歩兵戦闘車両の共通化構想は、北欧・バルト地域における協調防衛体制強化と、ウクライナ支援の準備という二重の意義を持つ。

欧州6か国がスウェーデン製のCV90の共同調達に署名
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