米陸軍は拡大射程砲システム(ERCA)で70kmの射撃を成功させる

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長距離攻撃には通常、ミサイルといった精密誘導弾を使用するが米陸軍はM1299自走砲とM982 エクスカリバー弾で70km先の標的に直撃させる長距離射撃を成功させた。

敵の範囲外から攻撃

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拡大射程砲システム(Extended Range Cannon Artillery system:ERCA)を監督している米陸軍の将軍によると、開発中のERCA システムが12月19日にアリゾナ州ユマ試験場で、エクスカリバー遠距離誘導砲弾を使って、43マイル(70km)離れた標的に命中させた。距離でいうと東京の中心地から神奈川県の小田原市ぐらいまでの距離だ。

ラファティ司令官は、テスト直後の電話会議で記者団に対し、「敵には43マイル先の標的を正確に射撃する能力はないと思います」と述べた。米陸軍はロシアのようなハイエンドの敵の優位性を奪うために、戦場に大砲を展開しようと競っている。ERCAは敵のシステムの範囲外から標的への攻撃を可能にする。

M1299自走砲とM982 エクスカリバー弾

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射撃はERCAプログラムのもと開発されたM1299自走砲を使用して行われた。M1299はM109A7 155mm自走榴弾砲のシャーシに、39口径から58口径にアップグレードされた砲身を備えている。砲弾にはレイセオン社製のM982エクスカリバー (Excalibur) 弾と、加圧推進剤を使用したXM1113シェルを組み合わせることで、大砲の射程を劇的に伸ばすことに成功した。

三発撃って一発命中

しかし、今回のテストではまだ問題が多く、合計3回のテストショットを実施したが、1発目は強風で100mずれ、2発目は機器の故障が発生。3発目でようやく様々な数値が理論値に到達し命中した。ERCAの砲身から毎秒1,000mで発射される高圧と力を吸収するための砲弾の設計と最善の方法に対処するための準備と設計にわずかな違いがあった。計画のマネージャーであるトニー・ギブス大佐は記者団に「これは、米国の大砲の優位性を再構築しようとしている現在進行中の学習キャンペーンの単なる通過点にすぎません。今日の私たちにとって、これは間違いなく大きな知識ポイントです。」と語った。

誘導弾より単価が安く撃墜不可能

ミサイルこと精密誘導弾はコストが高く多用はできない。その点、砲弾はミサイルよりも単価が非常に安く、砲弾でミサイル並みの長距離攻撃が可能になれば費用対効果が非常に高くなる。砲弾の速度はマッハ2を超え複数の自走砲から一斉射撃されれば迎撃することはほぼ不可能だ。米軍では1600kmの超長距離射程をほこるSLRC(Strategic Long Range Cannon)の開発も進めており、敵の射程外からの攻撃能力の開発に躍起になっている。

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アメリカ陸軍は、1,000マイル(1600㎞)以上の驚異的な超長距離射程を持つ大砲SLRC(Strategic Long…

Source
https://www.defensenews.com/land/2020/12/21/army-long-range-cannon-gets-direct-hit-on-target-43-miles-away/

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