自衛隊も配備するM270MLRS多連装砲ロケットシステム

写真 陸上自衛隊

M270 MLRSは米軍及びNATO、そして陸上自衛隊といった西側同盟国で広く配備されている自走多連装砲ロケットシステムです。

概要

M270多連装砲ロケットシステム(M270 Multiple Launch Rocket System)、略して「M270 MLRS」といいます。M270はM110 203mm自走榴弾砲の後継とソ連の自走ロケット砲に対抗する形で英国、米国、西ドイツ、フランス、イタリアの共同によって開発、1983年に西ドイツに初めて配備されました。M270は電子火器管制システム、M269ローダーランチャーモジュール(LLM)、ブラッドレー戦闘車のシャーシをベースにM993キャリアビークルの3つ主要なシステム上に構成されています。500馬力のエンジンを搭載し、最大速度64km/h、航続距離480kmをゆうします。

使い捨てのロケットコンテナ

M270の特徴は、ソ連やロシア製のロケットランチャーシステムに見受けられる発射レールがないことです。ロケットはコンテナから直接発射されます。このコンテナは使い捨て容器になっており、撃ち尽くしたらロケットを補充するのではなく、コンテナごと入れ替えて次弾を発射します。コンテナとロケットの寿命は長く、容器に収納したまま最長10年間、メンテナンスなしで容器に収納できます。コンテナ二個とロケット12基を搭載している。

トランペッター 1/35 ノルウェー陸軍 M270/A1 MLRS 多連装ロケットシステム プラモデル 01048

武装

MLRSランチャーユニットには、MGM-140 ATACMS地対地ミサイル6発が搭載された2つのコンテナの計12発のロケットを搭載しています。ロケットは個々に単発で発射することも、2発から12発まで連続して発射することもできます。電子火器管制システムはランチャーをラウンド間で再照準するので、精度はすべての発射毎に調整、維持されます。照準は手動も可能です。電子化された火災管制システム、ローディングにより、乗組員の数を減らしたり、1人の兵士でもランチャーの積み下ろしを可能にしている。乗員数は基本、車長、運転手、砲手の三人で、わずか60秒以内に最大12発のMLRSロケットを発射できます。当初は照準ベースのロケット弾でしたが、2006年から誘導可能なM30ロケット弾に変更されていまっす。射程は最大70kmです。

単発にはなるがより射程と威力が高い地対地ミサイルMGM-140 ATACMSを搭載することもできます。射程は最大300kmです。

ソ連に対抗して開発

自走多連装砲ロケットランチャーといえばソ連です。第二次世界大戦時に登場し「カチューシャ」と呼ばれたBM-13、BM-8、BM-31はその圧倒的火力と発射時の恐ろしい轟音から「スターリンのオルガン」と呼ばれました。精度は決して高くはありませんが、数十台のカチューシャによる遠距離からの一斉射撃の飽和攻撃に精度は関係なく、大きな成果と恐怖を与えます。また自走式による射撃後すぐに退散というヒット&アウェイは非常に有効な戦術でした。大戦後も後継のBM-21が開発され、中東戦争でもその戦術の有効性が見受けられたこともあり、このままではソ連、東側諸国に不利と考えた米国とNATOは共同でMLRSの開発を行いました。

陸上自衛隊も配備

M270は1992年から陸上自衛隊の北部・西部方面の特科大隊に配備されています。車両は国内で生産されており、車体が日産自動車宇宙航空事業部(現:IHIエアロスペース)。電子システムが東芝が製造しています。映画『シン・ゴジラ』で武蔵小杉のゴジラを足止めする際に登場しています。

広告
最新情報をチェックしよう!