海軍・海兵隊遠征船舶阻止システム”NMESIS”

Photo by Cpl. Luke Cohen

米海兵隊は、8月15日にハワイで開催された米海軍との「大規模演習2021(Large Scale Exercise 2021)」で、新しい対艦ミサイルシステムをテストしました。そこで使用されたのが無人車両にミサイルランチャーを搭載した”海軍・海兵隊遠征船舶阻止システム(The Navy Marine Expeditionary Ship Interdiction System)”こと「NMESIS(ネメシス)」です。

無人ミサイルランチャー車両

アメリカの軍用車メーカーOshkosh Defense(オシュコシュ・ディフェンス)によって開発されたNMESISは海上および陸上の攻撃目標を破壊するように設計されたミサイルランチャーシステムになります。車両のベースになっているのはオシュコシュが製造し、米軍内において主力戦術車両して活躍するJLTVになり、信頼と実績あるシャーシをベースに開発されています。上の写真を良く見てもらうと分かると思うのですが、NMESISには運転席がありません。JLTVは有人車ですが、NMESISは無人のミサイルランチャー車両になります。無人といっても遠く離れた場所から遠隔操作をするのではなく、オペレーターが随伴して、コントローラーで操作します。であれば、「運転すればいいのではないか?」と思いますが、運転席を無くしたことによって、あの巨大なランチャーの搭載を可能とし、コンパクト化され、輸送機や上陸艇の搭載を可能としています。

対艦ミサイルNSMを搭載

NMESISのランチャーにはノルウェーのコングスベルグ社と米国のレセイオン社によって開発された対艦ミサイル「NSM」が搭載されています。NSMは全長4m、GPS/INS+IIR誘導式、”水平線越え対艦ミサイル”と呼ばれる200km以上の射程を有するスタンドオフミサイルで、世界で唯一の第5世代精密長距離攻撃ミサイルです。ハワイでの演習でNMESISから発射された2発のNSMは洋上の標的である廃船に2発とも命中させ、成果は上々でした。

現在、米海兵隊は戦車大隊を廃止、部隊のモバイル化と機動力の向上を図るために大改編を進めています。近年、緊迫の度合いを増す東アジアを念頭に考案された”遠征前方基地作戦(EABO)”は離島や海岸線を一気に占拠し、そこに補給設備や滑走路、ミサイルなどを設置し拠点をつくり、周辺の制空権、制海権を確保する作戦であり、それを実施するための新しい部隊「海兵隊沿岸連隊(MLR)」を創設しています。 NMESISはEABOにおいて、制海権とミサイル拠点を与えます。

兵器システムは2023年度末までに沖縄に拠点を置く海兵隊第3沿岸連隊(MLR)に配備される予定です。


Source
https://breakingdefense.com/2021/08/marines-successfully-fire-new-nmesis-anti-ship-weapon-during-live-exercise/
https://www.navalnews.com/naval-news/2021/08/marine-corps-successfully-demonstrates-nmesis-during-lse-21/

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