フランス、AMX-10 RC装輪戦車をウクライナに提供へ

Armée française

フランスのマクロン大統領は1月6日、ウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で、フランス製の AMX-10 RC軽装輪戦車とバスティオン装甲兵員輸送車をウクライナに送る旨を約束しました。AMX-10 RCが提供されれば、初の西側製戦車の提供になります。

両首脳の電話会談後、フランス大統領府の代表者は、フランスがAMX-10 RC軽装輪戦車をウクライナに送ると述べました。提供される時期や数、条件といった詳細については言及していません。ウクライナのゼレンスキー大統領も自身のTwitterでマクロン大統領がウクライナに軽戦車と装甲兵員輸送車を提供する決定をしてくれたことを発表し、謝意を示し、ウクライナ大統領府は「西側設計の戦車がウクライナ軍に供給されるのはこれが初めてだ」と述べました。

AMX-10 RCとは

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AMX-10RCは、フランスのイシー=レ=ムリノー工廠 (AMX) で1970年代に開発された、偵察および対戦車戦闘を目的とした車長、運転手、砲手、装填手の4人乗りの六輪の偵察戦闘車・装輪装甲車です。フランス陸軍では1981年に配備され、現在でも運用されています。現在、世界でトレンドである装輪式戦車の先駆けです。装輪式の強みである機動性に関しては整地で最高速度85km/h、未舗装でも60km/hと早く、走行距離は800kmを有します。かつては水陸両用でしたが、装甲が強化されたことで現在は失われています。

主砲には105mmライフル砲を搭載。最大射程2,200mの距離で、350mm(RHA)の装甲を貫通することができます。12発の装弾を含む38発の弾薬を搭載します。副武装に7.62mm同軸機銃、オプションで12.7mmM2重機関銃も搭載可能です。自動射撃制御装置を搭載し、正確な射撃を実現。また、偵察用途で設計されているため、サーマルカメラなど優れた光学機器を搭載、高い索敵能力を持っており、古い車両ではありますが、現代でも十分通用する車両です。偵察用途が主な用途ですが、機動力と105mm砲の攻撃力で突破口を見出すことも目的に設計されています。

とはいえ、配備から40年が経っており、老朽化。既に後継のEBRC ジャグア装甲偵察戦闘車が開発されており、2030年までに現在230両あるAMX-10 RCはEBRC ジャグアに置き換えられ、退役する予定でした。それもあって、今回、ウクライナへの提供に至ったものと思われます。

戦車ではない

フランス軍主力戦車ルクレールのアップグレード版「ルクレールXLR」
ルクレール戦車(Armée française)

各メディアはAMX-10 RCについて軽戦車と報じており、記事内でも軽戦車と言ってはいますが、実は正確には戦車ではありません。フランス軍では、戦車を意味する「char」というフランス語が戦車を定義するために使用されています。例えばフランス軍の主力戦車であるルクレールはフランス語では「Char Leclerc」です。しかし、AMX-10 RCには「Char」は付かず、「車輪(Roues)-カノン(Canon)」を意味するRCが付いています。フランス側もウクライナに戦車を提供するとは言っていません。西側製戦車を提供するとロシアを刺激する可能性がありますが、AMX-10 RCは戦車のようで戦車にあらずとギリギリのラインです。ちなみに同様のモデルである陸上自衛隊の16式も「16式機動戦闘車」と名称に”戦車”は付けていません。

しかし、世界的にはAMX-10 RCや16式といったこの手の装輪式戦闘車を装輪駆逐戦車、または軽装輪戦車と定義しています。

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