イタリア、レオパルト2の取得を諦めKF51パンター戦車を採用へ!ラインメタルと合併会社創設

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イタリアは国産主力戦車アリエテの後継として、KNDS社とレオパルト2A8の取得を協議をしていたが一転、ラインメタル社の次世代戦車KF51パンターを取得する意向である事が分かった。

イタリアは次期主力戦車の採用を巡り、独仏の戦車メーカーKNDS社とレオパルト2A8の調達を協議していたが、技術移転を巡って論争となった。イタリアは独自技術をレオパルト2に統合したかったが、18か国に採用されるレオパルト2の標準化を覆すものとして拒否。イタリアのレオパルト2A8採用計画は先月破談となった。イタリアとしてはKNDS主導のもとドイツ、フランスが開発進める欧州次期主力戦車MGCSへの参画も見越していたが、それも無くなった形だ。次期主力戦車計画が白紙になったイタリアが次に目を付けたのが、ドイツのラインメタル社が開発するKF-51パンターだった。

7月4日水曜、ラインメタルとイタリアの防衛大手企業レオナルド社はイタリア軍向けの戦闘車両を開発製造する合弁会社を設立する計画を発表した。出資比率は50:50になる。両社は声明で、イタリア軍向けに「新型主力戦車」を開発し、リンクス歩兵戦闘車を供給する覚書に署名したと述べた。両社によると、戦闘車両は「イタリアの要求に応じてレオナルド社が開発、製造する」という。ラインメタルはイタリアの老朽化したアリエテ戦車の後継として現在開発中のKF51パンター戦車の試作車を提供する予定であり、同じく、老朽化したダルド歩兵戦闘車の代替としてリンクス歩兵戦闘車の試作車を提供する予定だ。

声明では、戦車と歩兵戦闘車両の両プログラムにおいて、ミッションシステム、電子機器一式、武器の統合は、イタリアの要件に従ってレオナルド社によって開発、生産されるとしている。最終組立ライン、認証試験、ロジスティクスサポートはイタリアで行われ、イタリアの作業分担率は60%になると付け加えた。両社によると、新型戦車はMGCSの基礎となるとも述べている。ラインメタル社もMGCSのコンソーシアムに参加しているが、KF51を独自に開発するなど抜駆け行為が批判されている。KNDSがMGCSの開発を主導する中、次期主力戦車としてKF51パンターを先に実用化・実績を作ることで主導権を握ろうとしていると推測されている。

イタリアがKNDSと協議していた際は80億ユーロで270両のレオパルト2A8、150億ユーロで約1,000両の歩兵戦車の取得を計画していたので、KF51パンターとリンクスも同程度の調達が見込まれている。

KF51パンター

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KF-51パンターは2022年6月に発表された第4世代戦車で主砲にはNATO基準の120mmを上回る130mm滑腔砲を搭載、オートローダー、射撃を含め全ての機能はデジタル化され、スタンドオフ保護システムStrikeShieldといった新しい保護技術は、近年の主力戦車の課題でもあった重量の低総重量を可能にしている。シャーシはラインメタル社が開発したBpz3a1バッファロー装甲回収車をベースにしており、これは、総重量の低さと相まって、KF51の機動性の高さに寄与すると同時に、レオパルト2ファミリーとの共通性も持ち合わせており、ロジスティクス、メンテナンス、訓練における相乗効果をもたらす。昨年12月にはハンガリー政府がラインメタル社とKF51パンターを量産開始まで開発する総額2億8,800万ユーロの協定に署名している。また、ラインメタル社はドイツ政府の承認があればウクライナにKF51を提供するとも言っている。

リンクス歩兵戦闘車

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2018年に初めて公開されたLynx 歩兵戦闘車は高い生存性、多様な環境への適応性を実現した車両だ。今の歩兵戦闘車のほとんどが1990年代に設計されたものになり、 現状の複雑な戦闘環境に適していない。現在の戦場の脅威である電子戦、爆破攻撃、ドローン攻撃などに対応するためにも、防御力、機動力、および人員の負荷を軽減する必要があり、今の歩兵戦闘車がこれらの要件を満たす柔軟性は持ち得ていないの今のウクライナの状況を見れば明らかだ。戦場の複雑な運用要件を満たすために、歩兵戦闘車は戦場の状況に適応するには環境によって装備が追加変更できるモジュールシステムが必要とされ、リンクスはそれを実現、広範囲のパーツを柔軟に設置、交換が可能で、状況や任務要件に合わせて攻撃、防御両面において装備を変更できる。リンクスには軽量モデルのKF31、標準モデルのKF41があり、KF31は6名、KF41は8名の歩兵を運ぶことができる。KF41には主力戦車と同等の120mm砲を搭載することができ、戦車のような運用も可能だ。ハンガリーが218両のKF41の調達を決定している。

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