ウクライナ国営企業Ukroboronpromは10月19日、子会社のUkrspetsexportを通してウクライナ軍の主力戦車であるT-84BM-Oplot(オプロット)を米国の顧客に出荷したことを発表しました。
T-84BM Oplot
Oplotは、ウクライナイの軍需企業の集積地ハリコフにあるマリシェフ工場で生産されているウクライナ軍の主力戦車です。ベースにあるのはソ連のT-64を改良したT-80UDなり、それをアップグレードしたのがOplotで、2009年よりウクライナ軍に配備されています。自動装填装置を備え、125mm滑腔砲を搭載、主砲からは対戦車誘導ミサイルの9K119M Reflexも発射できます。ロシアの徹甲弾を防ぐ次世代のデュプレット爆発反応装甲(ERA)を装備しており、これはロシアのKontakt5反応装甲よりも優れているとされます。戦車には赤外線・レーザー誘導妨害装置のシュトーラ対策システムが搭載され、対戦車ミサイルの命中率低減しています。Zaslonアクティブ保護システムの取り付けも可能です。-40°Cから+55°Cまでの広い温度範囲、海抜3000 mまでの高地など過酷な環境でも動作します。重量は約51トンと軽量で、最高速度は時速70kmと機動性にも優れており、ウクライナ軍が世界に誇る高度な主力戦車です。
米国はこのOplotを2018年時の契約に基づき、700万ドルで購入しました。タイ軍は同じ車両を490万ドルで購入しており、それと比べると若干割高ですが、タイ軍は49輌を購入しており、まとめ買いの割引があったと思われます。当初、米国の購入先は不明だったのですが、Defense Expressの報道によると購入先は米国防総省のようです。
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なぜ、 米国防総省がウクライナの戦車を購入?
米国防総省がウクライナ製の戦車を購入するのは初めてではありません。2003年にはOplotの前身である4輌のT-80UDを購入しています。しかし、前回も今回もウクライナ製戦車の購入目的は明かされていません。T-80UDは米国に到着後、メリーランド州にあるアバディーン性能試験場に送られています。文字通り、ここは兵器の性能を試験する場所ですが、その意図、T-80UDがその後、どうなったかは不明です。
ウクライナは優れた戦車を開発したものの、実は予算不足で自軍に必要な戦車を生産できておらず、まだ10輌程と言われています。今回、米国に売ったOplotも新規ではなく、最初に製造されたOplotで、過去、軍事パレードに参加するなど中古の車輛です。近年、ロシアへの対応を巡ってアメリカはウクライナを支援しており、ウクライナは米国から資金援助をうけると共に、ジャベリン対戦車ミサイルやMkVI哨戒艇など米国製の兵器を大量に購入しています。米国のOplotの購入もその一環で間接的な資金援助と推測されます。また、ソ連時代のT-64をベースにしていることもあり、対ロシアを睨んだ模擬訓練に使用されることも推測されます。
Source
https://ukroboronprom.com.ua/en/news/ukrspeceksport-vidvantaziv-bm-oplot-amerikanskomu-zamovniku
https://defence-ua.com/people_and_company/amerikanskij_bm_oplot_nareshti_vidpravili_zamovniku-5072.html