ACV|AAV7に代わる米海兵隊の新しい水陸両用車両

ACV|AAV7に代わる米海兵隊の新しい水陸両用車両
写真 BAE Systems

米海兵隊の水陸両用車といえば、陸上自衛隊の水陸機動団も採用するAAV7水陸両用強襲輸送車(Assault Amphibious Vehicle,personnel.model7)です。しかし、このAAV7、採用してから既に40年近く経っており、老朽化しています。米海兵隊は既にAAV7に変わる次世代水陸両用車を決定しており、それがACVになります。

履帯から車輪に

AAV7の老朽化に伴い、新たに採用が決定したACV水陸両用戦闘車(Amphibious Combat Vehicle)は、BAEシステムとSAIC Terrexによって開発製造されています。AAV7とACVの最大の違いは走行装置です。AAV7(写真上)では履帯を使用していましたがACVでは大径ホイールの8輪車を採用しました。米海兵隊は当初反対していましたが、8輪駆動にしたことで浜辺といったオフロードでも履帯なみの走破能力を実現し、整地体では100km/hを超える速度を実現、給油無しで500kmを走行するなど上陸後に速やかに内陸へ移動できる高い機動力を実現しました。

ACV|AAV7に代わる米海兵隊の新しい水陸両用車両
写真 BAE Systems

水上では遅くなった

ACV|AAV7に代わる米海兵隊の新しい水陸両用車両
写真 BAE Systems

地上での機動力は高くなりましたが、水上におけるスピードに関してはAAV7より若干遅くなりました。BAEの公開するスペックによるとACVの水上での最高速度は約6ノット(11km/h)、それに対し、AAV7は7ノット(13km/h)です。誤差は2kmであり、そもそも長く水上を走るわけではないので、誤差の範囲かと思われます。しかし、敵対する中国の05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05)の水上での最高時速は27km/hといわれており、倍以上の開きがあり、南シナ海で戦闘が起きれば致命的になりかねません。

性能が下がって点でいうと搭乗できる兵士の数もAAV7の21名からACVでは13名に減っています。

武装が強化

AAV7の武装は12.7mmM2重機関銃、40mmMk.19自動擲弾銃の2つになります。この武装は地上兵士や軽車両に対しては有効ですが、ある程度の装甲を備えた装甲車両に対しては有効な攻撃を与える事が出来ず、射程も短いです。ACVでは武装が強化され30mm砲が搭載されます。これは歩兵戦闘車LAV-25と同じ武装で、ACVにはLAV-25と同等の役目を担う事も期待されています。

30mm砲は全ての車両に搭載されるわけではなく、ACVは指揮通信型のACV-Cと30mm砲装備仕様のACV-30の2つのタイプに分けられます。

防御力が強化

装甲は強化され、AAV7のアルミから超硬スチール製に、更に地雷やIED(即席爆破装置)から乗員を護る爆風軽減の座席や爆風体制の車体、追加装備可能なモジュール装甲など、乗員の生存率を向上させています。

ACVは2020年から2022年の間に生産され、計573台の車両が調達する予定です。最初の18台は2020年9月頃に海兵隊に届く予定で、その後、徐々にAAV7からACVへ切り替わっていきます。

https://www.baesystems.com/en-us/product/amphibious-combat-vehicle

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