アメリカはM2ブラッドレー歩兵戦闘車をウクライナに提供するのか

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アメリカがウクライナへの追加の軍事支援として、M2ブラッドレー歩兵戦闘車の提供を検討していることをバイデン大統領が明らかにしました。アメリカ陸軍は6500両以上のM2ブラッドレーを所有しており、その内3分の1が保管状態にあります。

以前から噂があったウクライナへのM2ブラッドレー歩兵戦闘車の提供について、4日、記者団から「選択肢に入っているか?」と聞かれたバイデン大統領は「イエス」と返答しました。とはいえ、まだ検討の段階であり、実現するには課題も多いとされます。もし、M2ブラッドレーが提供されるということになれば、ウクライナ軍にとってはこれほど心強い歩兵戦闘車はありません。M2ブラッドレーはこれまでウクライナ軍に提供された戦闘装甲車としては最も強力なものとなります。

戦車にも対抗できる歩兵戦闘車

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1981年から米陸軍に配備されているM2ブラッドレー歩兵戦闘車は機械化歩兵部隊の要です。車長、砲手、運転手の 3 人の乗員に加え、 6~7人の兵士を運ぶことができます。重量は30トン前後と軽量で走破性が高く、整地を最大速度66km/h、480kmを走破します。

武装にはM242 87口径25mm機関砲と7.62mm同軸機銃を備えており、25mm機関砲は毎分約200発の連射が可能で、射程は2.5km、装甲車の装甲を貫通します。戦車も側面など装甲の薄い部分であれば貫通が可能です。2連装発射式のTOW対戦車ミサイルも搭載可能で、予備弾3発も含め計5発を搭載。射程は3,750mと主力戦車の主砲の射程に匹敵します。1991年の湾岸戦争でソ連製のT-72戦車を主力とするイラク軍と対峙したM2ブラッドリーはこれらの武装を使用し、、M1エイブラムス戦車よりも多くの敵戦車を撃破しています。つまり、M2ブラッドレーはロシア軍のT-62、T-72戦車に対抗できる能力を持っており、ウクライナ軍に兵員を輸送するための装甲車、戦車に対抗する戦闘車としての機能を提供することができます。

BMPキラー

BMP戦闘装甲車
BMP(mod russia)

M2ブラッドレーはソ連の主力歩兵戦闘車であるBMPに対抗するために開発されました。25mm機関砲はBPMの正面装甲を貫通することができますが、BMPの30mm機関砲はM2ブラッドレーの正面装甲を貫くことはできません。そこでソ連はBMPにより強力な100mm砲を搭載しましたが、M2ブラッドレーはTOWを搭載して対抗。索敵能力もM2ブラッドレーの方が高いとされ、先制攻撃が可能です。

在庫が豊富

アメリカは1980年から1994年までにかけて6700両以上のM2ブラッドレーを生産。現在でも6500両を所有しています。その内、運用状態にあるのが4500両とされ、残りの2000両は保管状態にあります。今回、ウクライナに提供される車両として上がっているのがこの保管された2000両です。これであれば、例え数百両提供しても米陸軍の戦力に一切影響はありません。しかし、保管されているのは1985年にアップグレードされたM2A1と1988年にアップグレードM2A2と30年以上前のモデルです。現在の米陸軍の主力は1996年のM2A3と2019年に開発された最新モデルのM2A4です。

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M2 ブラッドレー歩兵戦闘車の最新モデルM2A4

M2A1とM2A2はIED(即席仕掛け爆弾)、地雷に対する考慮がされていないため、これらの攻撃に脆弱です。ウクライナに提供するとなれば、長期保存に伴うオーバーホールと現在の脅威に対抗するための近代化改修が必要であり、仮に提供が決定しても、実際にウクライナに送られるのは数カ月先になります。

US Weighs Sending Bradley Fighting Vehicles to Bolster Ukraine

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