IM-SHORAD|UASに対抗する対空機動兵器

IM-SHORAD|UAVに対抗する防空機動兵器

アメリカのジェネラル・ダイナミクスは10月2日、米陸軍が計画する「暫定機動近距離防空システム(IM-SHORAD)」の製造・試験・納入を行う契約を12億ドルで受注したと発表した。IM-SHORADは、低高度の空中脅威を破壊、無力化、または抑止するための車両で主に無人航空機(UAS)やドローンの脅威に対抗するために開発された戦闘車両だ。

概要

地上部隊の脅威といえば、以前は攻撃ヘリコプターだった。しかし、昨今では携行型の対空誘導兵器が普及したこともあり、その脅威は薄れたが、その代わり、UAS・ドローンが台頭。特にドローンは抵コストで配備できるためテロリストや民兵にも普及、カミカゼドローンとして体当たり攻撃してくるなど、むしろ空からの脅威は増すことになった。2020年9月に始まったアルメニア軍とアゼルバイジャン軍の戦闘では実際、ドローンの攻撃によって多数の戦闘車両が破壊されている。

これらの脅威に対抗する為に開発されたのが”IM-SHORAD”だ。名前は暫定機動近距離防空を意味する英語”Initial Maneuver Short-Range Air Defense”からきている。実態は対空ミサイルや機銃を装備したストライカー歩兵戦闘車。ジェネラル・ダイナミクス・ランドシステムを主体にパートナーのレオナルドDRSとレイセオンによって開発されている。

武装

IM-SHORADはUAS、ドローン及び低高度を飛行するヘリや航空機といった空中の脅威を検知し、阻止、破壊して戦闘旅団を直接支援する。そのための装備としてスティンガーミサイルとヘルファイアAGM-114ロングボウミサイルを搭載している。後者は主に空対地ミサイルに使用されるが、ドローンやヘリといった中低速度の飛行標的に対しては対空兵器として使用できる。その他XM914 30mm砲、および7.62mm機関銃を装備し、これらの武装は360度アベンジャー防空砲塔に搭載されている。

レーダーにはイスラエルのRADA社の360度の防空保護を提供するレーダーが搭載され、近づく飛行物体を検知する。IM-SHORADは短距離の防空任務を担い、陸上部隊の防空のギャップを埋める。

米陸軍は、 2023年度までに、四つの大隊に144台のIM-SHORADの配備を計画している。

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