イスラエルの防衛企業Elbit Systems(エルビット)は、イスラエル国防軍(IDF)向けの新しい155mm(52口径)砲を備えた装輪式の全自動自走砲システムSIGMA(シグマ)を開発しています。これは現在IDFが配備する155mm(39口径)を搭載した履帯式のM109に取って代わることを目的としています。
Janesの報道によるとSIGMAは2019年3月に発表された1億2500万ドル規模の契約に基づいて開発が進められています。‘artillery of the future(未来の大砲)’と呼ばれるこのプログラムは老朽化したM109に代わる正確で効率的な砲兵システムを調達することです。
SIGMAは2000年初頭からエルビットの子会社であるソルタム・システムズが開発を行っていた155mm自走榴弾砲ATMOS 2000の発展型になります。米国のOshkosh Defense 10×10のトラックシャーシをベースに開発されており、155mm口径の砲身と23リットルのチャンバーを装備した全自動タレットが装備され、NATOの共通弾道覚書 (JBMoU) に適合したマズルブレーキとヒューム吸引器が装備されています。キャビンは完全に装甲で保護され、NBC(核・生物・化学)にも対応、3人乗りで冷房を完備します。
車両と砲塔は全てキャビンのコントロールルームから操作可能で発射まで全て遠隔操作で行えます。”UniModular Artillery Charge System (UMACS)”と呼ばれる自動装填システムはまず砲弾の信管をセットし、砲弾を装填した後に別のマガジンを介して装薬自動的に装填します。システムに不備があった場合にバックアップとして「手動モード」も用意しています。IDFは発射速度が速く、40kmの射程を望んでいます。
現在の155mm自走砲の世界的な流れは無限軌道の装軌式ではなく、重機輸送機を必要とせず、コストが安くメンテナンスも効率化でき、機動性が高く長距離移動が可能な装輪式に移っています。IDFはシリア、レバノン、ガザとの戦いにおいて、新しい砲兵システムがIDFが直面する作戦上の課題を解決する可能性があると考えています。2023年頃にはSIGMAが配備される予定です。
Source