ウクライナの戦場にフェレット装甲車が登場

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SNSに投稿されたある動画から、かつてイギリス陸軍が運用し、1991年に退役したフェレット装甲車がウクライナの戦場に登場したと話題になっています。

ウクライナ軍に関するある動画が先日SNSに投稿されました。動画には倉庫に並ぶ軍用車両を映したもので、そこには14台のスナッチ・ランドローバー装甲SUV、そして、3台のベクター ピンツガウアー 718装甲車が写し出されています。しかし、一台だけ、周りと比べると異質な車両があります。よく見ると、これがフェレット装甲車であることが分かります。しかも、砲塔の無い初期のMk1モデルです。フェレット装甲車はイギリスのダイムラー社によって、イギリス軍向けに開発製造され車両です。スナッチ・ランドローバー、ベクター ピンツガウアー 718も英陸軍で採用されている車両で、これが、イギリスからのウクライナの軍事支援ということが分かります。ここで、なぜ、フェレット装甲車に注目が集まったのかというと、スナッチ・ランドローバーとベクター ピンツガウアー 718は未だ、英陸軍内で現役であるのに対し、フェレット装甲車は1991年に英陸軍から退役しており、30年間以上運用されていません。生産自体も1971年に終わっており、半世紀以上前の骨董兵器になるからです。しかし、その可愛らしいフォルムから、英陸軍のアイコンでもあったフェレットは今でも人気の車両になります。

フェレット装甲車とは

フェレットは偵察を目的として設計開発された軽装甲偵察車両です。イギリスの車両メーカー”ダイムラー”社によって、1952年から1971年にかけて4409両が生産されました。車両はイギリス陸軍だけではなく、オーストラリアやニュージーランドといったイギリス連邦、中東やヨーロッパ諸国にも輸出され、最大40カ国で運用されました。

車両は小型で全長 3.7m、全幅 1.91m、全高 1.88mと普通乗用車より少し大きいくらいです。ユニボディ構造で車体はスリムですが内部スペースを多く確保、乗員は砲塔無しで車長と運転手の2人、砲塔ありで砲手を追加した3人乗りです。機動性も高く、最高速度は93km/h、310kmの走行範囲を有しています。ランフラットタイヤを採用し、パンクしても一定の走行は可能です。基本武装は7.62mmブレン軽機関銃になり、あとに一部の車両がビッカース ビジラント対戦車ミサイル、スウィングファイア対戦車ミサイルを搭載発射できるよう改良されています。戦歴に関しては1952年に登場していたこもあり、古くは朝鮮戦争に参加していたという噂もあり、1956年のスエズ騒乱に配備された記録はあります。イギリス軍では1991年に退役するまで多くの紛争に投入されました。他の先進諸国でも退役して久しいですが、アジアやアフリカと途上国の軍では未だ現役で運用されています。ウクライナで確認されたフェレットは砲塔がないMk1という初期バージョンになります。

ウクライナのフェレット装甲車はどこから

日本の公道を走るフェレット装甲車

ウクライナに提供されたフェレットが英陸軍にあったものかどうかは謎です。既に退役から30年以上が経過。車両としても特別なわけではなく、予備役で保管しておく必要はありません。既に多くの車両は海外や民間に売却されています。そこで、考えられるのが民間からの寄付です。実はフェレット装甲車民間市場で売買されており、一般でも購入できます。もちろん武装は取り除いたものですが、普通車両として、日本の公道も走行することは可能です。日本でも大阪に1両あり、公道を走る様子は話題になりました。価格はモデルや状態によって異なるもののMk1、Mk2といった古いモデルで£10,000前後、新しいMk4で£20,000前後、日本円で160~320万円前後と普通乗用車と変わらない価格帯なので買えない価格ではありません。

現代戦において、フェレット装甲車は偵察車両としてもあまり役に立つとは思えません。砲塔のないMk1は火力としても戦線に寄与できるのは僅かでしょう。しかし、再び戦場にフェレットが登場するのは不謹慎かと思いますがロマンがあります。

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