ドイツの軍需企業ラインメタル社は9月5日、ドイツで生産されたゲパルト自走対空砲で使用する35mm砲弾の最初のバッチをウクライナに納入したことを発表した。最初に納入された数は不明だが、年末までに4万発を納入する予定だと同社は述べている。
⚡️The 🇩🇪German SPAAG Gepard in service with the Armed Forces of 🇺🇦Ukraine in Zhytomyr Oblast during an air alert on August 19 and 30 shot down all air targets that came within its range (5 Shahed 136/131) pic.twitter.com/06RmuPjY3T
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) September 6, 2023
ドイツはウクライナに対ドローン用としてドイツ軍では全車両退役していたゲパルト対空自走砲を軍事支援として供与。2022年7月末に最初の5両が納入されてから、これまで46両が提供され、さらに6両の追加が予定されている。ゲパルトは今ではロシアの攻撃からウクライナの都市を守る上で必要不可欠な装備になっており、各都市を襲うロシアの自爆ドローンに対し、効果的な兵器であることが証明されている。先日も南部の港湾都市オデーサを襲ったロシアの自爆ドローンをゲパルトが撃墜する動画公開されている。ただ、そんなゲパルトに大きな懸念があった。それが砲弾在庫の問題だ。
35mm砲弾の在庫問題
オデーサに飛来したロシアの自爆ドローンShahed-131/136を迎撃するウクライナのゲパルト自走対空砲の35mm機関砲pic.twitter.com/NBfcZwesXA
— ワールドタンクニュース (@WorldTankNews) September 8, 2023
ゲパルト対空自走砲は、1970年代にドイツのラインメタル社が開発した対空車両で、連射速度毎分550発のスイスのエリコン社製の35mm機関砲を2門搭載。ドイツ製のXバンド捜索/追跡レーダーで、高度4000m以下の低空を飛行する固定翼機、ヘリコプター、巡航ミサイルを補足し、攻撃するように設計されている。しかし、航空機の高高度と高速化、対空ミサイルの発展により、その役目を終え、2000年代にはドイツ軍で全て退役していた。しかし、低速、低高度を飛行するドローンに対し有効であることが分かり、倉庫で眠っていたゲパルトはウクライナで新たな活躍の場を得た。
しかし、既に退役した車両。使用する35mm弾の備蓄はドイツにはほとんどなく、生産も終えていた。ドイツは35mm機関砲の生産元であるスイスのエリコン社に35mm砲弾の購入を要求するも、中立国であるスイスは戦争当事者国双方に関与しないという方針のもと提供を拒否。昨年9月には早くも35mm砲弾の在庫は底を尽きる。ノルウェーのNammo社が生産に手を上げ生産するも仕様が異なり、使用できな問題が起きるなど、弾薬の供給に課題を抱えていた。
KMWドイツは先週、計画されていた軍事支援の一つ、ゲパルト自走対空砲の提供ついて最初の5両をウクライナ軍に納入しました。しかし、合わせて提供した弾薬が兵器システムに認識されず、使用できないことがわかりました。[adcode[…]
そこで、ドイツとラインメタル社は国内で生産することを決め、エリコン社の承認も得て、生産ラインを確立。ドイツ国防省はウクライナ支援のため30万発の35mm砲弾の生産をラインメタル社に発注。今年2月にウクライナとも契約を締結していた。砲弾の問題もあり、ゲパルトの使用は限られていたが、砲弾枯渇の懸念が無くなったことで使用の幅は広がり、今後、ウクライナの防空はより強化されるだろう。防空ミサイルを使用するよりもコスパが良いのもメリットが大きい。
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