ドイツは先週、計画されていた軍事支援の一つ、ゲパルト自走対空砲の提供ついて最初の5両をウクライナ軍に納入しました。しかし、合わせて提供した弾薬が兵器システムに認識されず、使用できないことがわかりました。
ロシア侵攻後の2月末の段階で既に声が上がっていたゲパルト自走対空砲のウクライナへの提供。当初、ドイツ政府は拒否するも、その後、紆余曲折を経て、ショルツ首相は4月末にようやく提供を承認。当初50両という話は最終的に15両に落ち着きます。しかし、いざ、提供するとなるとゲパルト対空自走砲の35mm砲機関砲(エリコンKD 35mm 機関砲)の弾薬のドイツ軍の在庫が6万発しか無いことが分かります。分間550発の35mm砲2門を持つゲパルトにそれは全く十分な数ではありません。そこで、製造元のスイスの軍需企業エリコン社に輸出を交渉するも永世中立国であるスイスはその立場上、ロシアを攻撃するための弾薬の提供を拒否します。そこで、ドイツは過去にゲパルトの中古を販売したカタール、ヨルダン、ブラジルに弾薬在庫の提供を交渉。ブラジルが30万発を提供することで合意します。しかし、これをウクライナに移送するには弾薬の製造国であるスイスの承認が必要なのですが、またしてもこれをスイスが拒否。
Photo Bundeswehrドイツの兵器会社Krauss-Maffei Wegmann(KMW)はドイツメディアDie Weltの取材に対し、ゲパルト(Gepard)自走対空砲50両をウクライナに提供する準備があると答えました[…]
八方ふさがりになる中、北欧のノルウェーが35mm弾を生産できると手を挙げます。ノルウェーはウクライナに提供するゲパルトのために新たに弾薬を製造。ドイツはゲパルトの提供と合わせてノルウェー製の35mm弾も提供します。しかし、いざ、これを発射しようとしてみたところ、兵器システムが弾薬を認識せず、発射することができませんでした。どうやらドイツとノルウェーは提供前にゲパルトでの発射テストを行っていなかったようです。ノルウェーは直ぐに修正した弾薬を製造するとして、今度は8月にドイツと共同テストを行ってから新しい弾薬を提供するそうです。ウクライナ兵へのゲパルトの運用訓練は終えており、直ぐに前線に投入可能ですが、弾薬が無ければ、ゲパルト自走対空は使い物になりません。
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