ドイツの兵器会社Krauss-Maffei Wegmann(KMW)はドイツメディアDie Weltの取材に対し、ゲパルト(Gepard)自走対空砲50両をウクライナに提供する準備があると答えました。
これはDieWeltのKMWのラルフケッツェル社長への取材によって発表されました。ゲパルト自走砲はドイツ連邦軍で運用された後、2010年から段階的に退役となり、保管状態にありました。KMWは約50両のゲパルト自走対空砲を保有しており、これをウクライナに引き渡す準備があると答えています。
ゲパルト自走対空砲とは
ゲパルト自走対空砲は西ドイツ時代の1970年代に開発され、1976年に西ドイツ軍に配備された対空兵器です。2人乗りの電動砲塔には、Oerlikon KDA35mm砲2門を装備。自動ベルトフィードによって装弾される35mm砲の発射速度は1分間に1,100発(各550発)になります。通常の装填は320発の対空弾、20発の徹甲弾になり、この他、初速1,400m/sを超えるFAPDS弾も使用できます。
ゲパルトには独立した捜索レーダーと追跡レーダーが搭載され、探知距離は15kmになります。探知された標的はデジタル射撃統制システムによって処理され照準、追跡します。シャーシは当時の主力戦車であったレオパルド1をベースにした強固な装甲に防御用に8つの排煙器を装備しています。機動性が高く最高速度65km/h、550kmの行動距離を有します。
ドイツ軍には計377両が配備されましたが、防空兵器の主流がミサイルになったこともあり、2010年からドイツ軍では段階的に退役が始まり、ミサイルランチャーを搭載したWiesel2 Ozelotに置き換えられています。
提供にはドイツ政府の承認が必要
古くなったとはいえ、ヘリやドローンに対してはまだまだ有効であり、水平射撃も可能で地上兵器としても使用できます。戦力の乏しいウクライナ軍にとっては喉から手が出るほど欲しい兵器かもしれません。しかし、一企業の判断で輸出できるものではなく、ドイツ政府の承認が必要になります。当初、ドイツはウクライナへの武器供与を認めていませんでしたが、ここにきて方針転換、ドイツのショルツ首相は26日、ウクライナに対戦車砲1000門や携帯式地対空ミサイル500基を提供すると発表しました。携行式武器と違い、輸送や訓練などハードルは高いですが、可能性は上がったかもしれません。
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