トルコ初の国産新世代主力戦車アルタイの生産が遅れている問題で、トルコの軍関係者と生産するトルコの軍事企業のオトカ社の開発チームは韓国企業に救済を求めるべく交渉を進めている。
アルタイに致命的な欠陥が発覚
2012年に誕生したアルタイ主力戦車は本来であれば、既に量産を終え2015年頃に配備されている予定だったが、生産が遅れている。調達に関わるある当局者は、「エンジン、トランスミッション、装甲といった重要なコンポーネントに問題を抱えており、大幅な遅延に直面しています。」と語った。その上で生産がいつ再開されるか現時点では不明とも語っている。
同じ失敗をした韓国に救済を求める
そこで、白羽の矢が立ったのが韓国企業への救済だ。もともとアルタイは韓国軍の主力戦車である”K2ブラックパンサー”を参考に開発された戦車で、K2と類似点が多く、ほぼK2ともいってもいい戦車だ。そこでK2の開発を担った韓国企業の斗山とS&Tダイナミクスの2社と交渉している。そして、もう一つ韓国に救済を求める理由として韓国のK2もかつてアルタイと同様にエンジンとトランスミッションに関する問題のために生産が大幅に遅れるという失敗を経験しているからだ。
K2戦車は初期量産分の100輌を斗山1,500馬力エンジンとS&Tダイナミクスオートマチックトランスミッションを搭載して生産が開始された、2011年に配備を予定していたが、その後のエンジンとトランスミッションの耐久性テストにおいて欠陥が発覚。生産は大幅に遅延する。結局、初期生産分は国産は諦め、ドイツMTU社製のエンジンとドイツRenk社製のトランスミッションが採用された。その後、エンジンに関しては国産に切り替えられている。
この経緯はトルコも知っており、最初はドイツ企業に救済を求めていた。しかし、シリアの対応を巡って、トルコとドイツは対立しており、ドイツはトルコへ武器禁輸を課していたため交渉はできなかった。そこで、次にフランス企業に救済を求めるも近年、フランスともあまり関係性がよくなかった。そもそも、トルコが国産戦車の生産に舵をきったのはNATOとの関係悪化が理由。これまでドイツのレオパルト2を配備してきたが、関係性の悪化から将来の懸念があったためだ。そこで、韓国へとなった。戦車は酷似しており、同様の経験を持つ韓国はうってつけという訳だ。
本来であればとっくにアルタイ主力戦車は配備されていなければならない。トルコ政府とオトカ社は少なくとも250輌の生産を初期契約で結んでおり、エルドアン首相の計画によれば、最終的に1,000輌生産するはずだった。パキスタン軍はアルタイ戦車に期待していたが、この大幅な生産遅れにより、中国のVT-4戦車、300輌を購入しており、生産計画も大幅な変更が強いられることになりそうだ。
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アルタイ主力戦車とは
トルコのオトカ社が開発するトルコ初の国産主力戦車。それまでのドイツのレオパルト2と米国のM60に代わる主力戦車として開発された。開発にあたっては海外の戦車を参考に、技術の60%以上を外国企業から技術供与をうけている。特に参考にされたのが韓国のK2ブラックパンサーになる。主砲は120mm滑腔砲。副武装に12.7 mm機関銃を搭載し、リモート操作できる。重量は最新の主力戦車としては重い60トンにもなるが速度は70km/hと機動性は保持している。しかし、新型ながら性能的には前世代のロシアのT-90Aやドイツのレオパルト2にも劣ると目されている。