アメリカからウクライナに供与されている高機動ロケットシステムM142 HIMARS(ハイマース)が修理の為にアメリカに輸送されたのが12日確認されました。
ウクライナは戦場で損傷した2台のM142 HIMARSを修理するため、アントノフAn-124輸送機に乗せて米国に輸送しました。Youtubeに投稿された映像ではペンシルベニア州にあるハリスバーグ国際空港に到着したAn-124とそこから運び出される2台のHIMARSが確認できます。運び出されるHIMARSには、それがウクライナ軍に所属することを示す白い十字の識別マークが確認できます。1台目は一見、目立った損傷は見受けられませんが、車両右前輪タイヤはパンク、そして、右前面の装甲の白い点々は破片による損傷部分とされています。アメリカに輸送されるぐらいなので、他にもっと致命的な損傷があるかもしれません。2台目に関しては損傷部位がはっきり確認でき、右側前面の車輪部分が欠損しているのが分かります。これは地雷やIEDといった地上に設置された爆発物による損傷と推測されます。走行不能になったにも関わらず、無事回収できたのは幸運だったでしょう。HIMARSの損傷が視覚的に確認されたのは今回が初になります。
HIMARSは2022年6月に初めてウクライナ軍での使用が確認されました。これまで39台のHIMARSがウクライナに納入されましたが、一度も損傷が確認されたことはありませんでした。ロシアは再三、破壊、損傷をアピールしていましたが、それはデコイであったり、何一つ視覚情報が無いものでした。実際、ロシア・ウクライナ軍の損失を分析するオープンサイトOryxのリストにはHIMARSは1台も記載されていません。今回、HIMARSの損傷が目に見える形で確認されたのは初めてです。ただ、このHMARSがどういった経緯で損傷したかは明らかではありません。ロシア軍の攻撃によるものなのか不明ですし、地雷というのもまた、損傷からの推測です。それもあり、Oryxのウクライナ軍の損失リストにはまだ記載されていません。
An-124は2台のHIMARSを降ろしたあと、7台の新たな車両を搭載し、ウクライナへ戻りました。
写真 ウクライナ国防省 2022年6月に初めてウクライナ軍での使用が確認された高機動ロケット砲システムM142 HIMARS。あれから1年が経過したが、未だ一両も破壊が確認されていない。ロシア国防省は再三破壊したと発表していたが、画[…]