ハスキーにスパルタン、英国がウクライナに提供する120台の装甲車の内訳は?

Husky TSV (British army)

イギリスのジョンソン首相は4月9日にウクライナの首都キーウを訪れた際にゼレンスキー大統領に新たな軍事支援として120台の装甲車を提供することを約束しています。この120台は全て同じ車両ではなく、マスティフPPVウルフハウンドハスキーTSVFV103 スパルタンとそれぞれタイプが異なる4つの車両になります。

マスティフPPV(Mastiff PPV)

British army

マスティフはアメリカのフォース・プロテクション社が開発した対地雷伏撃防護装甲車(MRAP)のクーガー装甲車をイギリス軍仕様にカスタマイズした車両で2009年にイギリス軍に就役、アフガニスタンでの軍事作戦のために配備された車両です。6×6の装甲車両で2人の乗員と最大8名の兵士が搭乗。MARA仕様の車体はIEDや地雷、小火器に対し高い保護を提供、装甲を追加することもできます。最高速度は105km/h、行動距離は966kmと機動性も高い車両です。武装には7.62 x 51 mm FN MAG/5.56 x 45 mm L110A1軽機関銃、または12.7mm L1A1重機関銃のいずれかを搭載した砲塔が装備できます。

ウルフハウンド(Wolfhound)

British army

ウルフハウンドはマスティフPPVのバージョンアップ版でイギリスのNPエアロスペース社の電子装備と装甲が追加されています。主な用途は前線への物資の補給で水や弾薬などの必要不可欠な戦闘用品を運ぶために使用されています。高度に保護された運搬車両を利用し、前哨基地の建設に使用するための機材の移動や、砲兵ために野砲を牽引するガントラクターやガンリンバーなど、さまざまなタスクを実行します。乗員数は増えて最大10名の兵士が搭乗できます。

ハスキーTSV(Husky TSV)

アメリカのNavistar Defenceによって製造されたハスキーは、同社のインターナショナルMXTモデルをベースにイギリス向けに改良された中装甲の高機動性戦術支援車両(TSV)で、2009年からイギリスで運用されており、計351台が納入されています。高度な移動性と柔軟性を備えた荷物運搬車両として装甲化された支援車両で食料、水、弾薬の輸送、本部での指揮車両、救急車としての機能など、さまざまなミッションを行うユーティリティ車両として設計されています。乗員2人と2人の兵士が搭乗できます。武装には7.62mm機銃、または12.7mm重機関銃、グレネードランチャーを搭載できます。弾道、IEDおよび地雷爆発から、360度乗員を保護します。

FV103 スパルタン(FV103 Spartan)

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スパルタンは1978年にイギリス陸軍に就役したCVRT軽偵察装甲車両ファミリーのAPC(装甲兵員輸送車)です。非常に小型の装甲兵員輸送車で、3人の乗組員に加えて4人の兵士が搭乗することができます。主に偵察チーム、防空部隊、迫撃砲の射撃管制官などの小規模な専門集団を運ぶのに使用されます。スパルタンの車体は、溶接されたアルミニウム装甲でできており、正面装甲は14.5 mmの発射体から、それ以外は7.62mmのからの攻撃に対し乗員を保護します。最高時速は92km/h、行動距離は510km/h。武装には7.62mm機関銃、バリアントのFV120 Spartan MCTには対戦車ミサイルのMilanが搭載されています。イギリス軍ではこれまで500両近いスパルタンが使用されてきましたが、採用されてから半世紀近く経つことも他の車両に退役が進んでいます。

これらの4つの車両はウクライナには馴染みのない車両であり、使いこなすにはイギリス軍からのレクチャーが必要です。その点についてはロシア侵攻前からウクライナ兵の訓練のために特殊部隊のSASやレンジャーが駐留しているとされており、彼らによってウクライナ軍へレクチャーが行われると思われ、更に数百人の退役イギリス軍兵が義勇兵として参加しており、扱いについては問題は無いと思われます。

Source

https://www.army.mod.uk/equipment/protected-patrol-vehicles/

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