陸上自衛隊、装輪装甲車AMVの量産版初号機を受領

陸上自衛隊SNSより

陸上自衛隊は、次世代の装輪装甲兵員輸送車である装甲モジュラー車両(AMV)の初号機を受領し、日本の防衛力強化に向けた重要な一歩を踏み出した。

陸上自衛隊は9月4日、公式SNSを通じて、9月2日に株式会社日本製鋼所の室蘭製作所において、荒井陸上幕僚長が装輪装甲車(人員輸送型)AMVの量産初号機の出荷式に参加したことを発表した。陸上自衛隊によると、この量産初号機は今年度から部隊への配備が開始される予定だ。公式SNSでは、「陸上自衛隊が今回導入するAMVは、優れた機動力及び防護力を備えており、脅威下における人員輸送を可能にする他、国際平和協力活動においても幅広い活用が期待される装備です。」と述べ、その多用途性と重要性を強調している。

AMVの開発・生産元であるフィンランドのパトリア社は、今年5月16日のプレスリリースで、パトリアAMV XP 8×8装甲車両の日本国内における生産を本年9月より開始することを発表していた。日本国内での生産プロセスは、フィンランドからの部品およびサブアセンブリの輸入による車両組立、いわゆるノックダウン方式から開始されるとされていた。しかし、出荷式が9月2日であったことを考慮すると、初号機は室蘭製作所で生産されたものではなく、フィンランドのパトリア社の工場で組み立てられた可能性が高い。これは、5月の発表時点で日本チームがパトリアの専門家や整備士の指導のもと、すでに車両1台を組み立てており、この車両が最終検証と試運転を完了し、装備の取り付け後に日本へ納車される予定で、最初の納入車両となると発表されていたことからも裏付けられる。このことから、今回の初号機は、日本製鋼所での本格的なノックダウン生産に先駆けて、技術移転の一環としてフィンランドで組み立てられた車両であると推測される。

陸上自衛隊は、老朽化した96式装輪装甲兵員輸送車の後継として、フィンランドのパトリアAMV XP 8×8を2022年12月に採用を決定した。この選定は、AMVが有する高い防御力、機動力、そして汎用性が評価された結果である。パトリア社は2023年8月には日本製鋼所と国内生産に関するライセンス契約を締結しており、これにより、AMVの国内での安定的な生産とサプライチェーンの確保が図られている。防衛省は「次期装輪装甲車(人員輸送型)」の取得に向け、令和5年度(2023年)に26両分の136億円、令和6年度(2024年)には28両分の200億円の予算を計上しており、最終的には810両という大規模な導入を目指している。この大量導入は、陸上自衛隊の機動展開能力と人員輸送能力を飛躍的に向上させるとともに、国際平和協力活動における貢献度を高める上で不可欠な要素となる。AMVの導入は、日本の防衛戦略において重要な役割を果たすことが期待されている。

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