独ラインメタルと宇ウクロボロンプロムが戦車の修理整備のための合弁会社を設立、ウクライナ国内で戦車生産も

独ラインメタルと宇ウクロボロンプロムが戦車の修理整備のための合弁会社を設立、ウクライナ国内で戦車生産も
© 2023 Rheinmetall AG

ドイツの軍需企業ラインメタル社は13日、ウクライナの国営軍需企業ウクロボロンプロム社と戦車及び戦闘車両の修理と整備のための合併会社を設立を発表しました。将来的には戦車の生産も見据えており、ラインメタル社の最新鋭戦車KF-51パンターのウクライナへの配備の布石とも言われています。

ラインメタルのアーミン・パッパーガーCEOがドイツメディアのハンデルスブラットのインタビューに述べたことによれば、既に両社間で契約書に署名しており、ラインメタル社が新会社の株式の過半数である51%を保有します。工場はウクライナ国内に建設される予定で、場所はまだ未定ですが、地理的要因を考えれば、おそらくポーランド国境付近になるでしょう。

ウクライナにはレオパルト2シリーズと間もなく供与されるレオパルト1の両戦車、Pzh2000と今後、提供予定のRCH-155の2つの155mm自走榴弾砲、そして、マルダー歩兵戦闘車、対空自走砲のゲパルトと多くのドイツ製戦闘車両が供与されており、そのほとんどにラインメタル社が関わっており、建設される工場では主にこれらドイツ製兵器が修理整備されるものと思われます。イギリスのチャレンジャー2やアメリカのM1A1エイブラムスといったウクライナに提供される他国製の戦車が修理整備が可能なのかは現時点で不明ですが、M1A1エイブラムスの主砲の44口径120mm滑腔砲M256はラインメタル社製と、各国の戦車や自走砲には同社製の主砲が多く使用されています。

将来的には兵器の共同開発、戦車の生産も

130mm砲を搭載する新型戦車KF-51パンサー
KF-51 パンター(© 2023 Rheinmetall AG)

今回の合併会社の設立は戦闘車両の修理と整備だけではなく、両社と両国の包括的な関係構築が目的であり、将来的にはラインメタル製品をウクライナで共同生産、共同開発する予定で、その中には戦車の生産も視野に入っており、ウクライナで生産したものを海外に輸出することも検討されています。そこで、注目が集まっているのが今年二月のラインメタルのアーミン・パッパーガーCEOの発言です。同氏はドイツ政府の承認があれば同社が開発する最新鋭戦車「KF-51パンター」をウクライナに提供すると発言しています。

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130mm砲を搭載する新型戦車KF-51パンサー

KF-51パンターは2022年6月に発表された第4世代戦車で主砲にはNATO基準の120mmを上回る130mm滑腔砲を搭載、射撃を含め全ての機能はデジタル化され、ドローンも搭載するなど、まさに新しい世代の戦車です。しかし、まだプロタイプの段階でドイツ軍でも正式採用はされておらず、量産は未定です。これをウクライナに提供するとCEOは述べたのです。もちろん、ドイツ政府が承認するわけがなく、リップサービスかもしれませんが、ドイツは現在、次期主力戦車として、フランスと共同でMGCSの開発に取り組んでいます。ラインメタル社も参画していますが、こちらはドイツのKMWとフランスのネクスター・システムズの合併会社であるKNDSが主体であり、それを牽制する狙いがあるのと、ヨーロッパで独占状態だったレオパルト2戦車のライバルが増えたことで、ウクライナで早々に実績を作って、顧客を囲い込みたいという焦りも考えられます。

Source

Rheinmetall and Ukroboronprom forge ties | Rheinmetall

Rheinmetall repariert und baut Panzer in der Ukraine (handelsblatt.com)

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