ウクライナの戦場で確認された北朝鮮の対戦車ミサイル車両Bulsae-4

ウクライナの戦場で北朝鮮製の対戦車ミサイル車両「Bulsae-4(火の鳥4号)」が初めて確認された。北朝鮮によるロシアへの軍事支援は砲弾やミサイルに限られているものと思われたが、車両の供与が確認されたのは初だ。

Bulsae-4(火の鳥4号)

7月末、ウクライナ軍の偵察部隊のドローンがウクライナ北東部ハルキウ州ボウチャンシクで、ロシア軍では見慣れない奇妙な車両を発見、撮影した。画像は粗いがそのシルエットから同車両は北朝鮮製の対戦車ミサイル車両「Bulsae-4(火の鳥4号)」と推測されている。同車両は北朝鮮によって開発生産されている車両で2010年代後半に初めて確認されている事から、北朝鮮の中でも近代的な軍事車両とされている。確認された年から米韓では「M-2018」とも呼ばれている。

シャーシはロシアのBTR-80A水陸両用装輪歩兵戦闘車をベースに北朝鮮が開発したM-2010の6輪仕様を使用、その上に6連装のミサイルランチャーを搭載している。ランチャーには近代的な対戦車ミサイルを搭載。ミサイルの射程は10~25kmとされており、敵の戦車、装甲車のアウトレンジから攻撃が可能とされている。ミサイルの誘導方式は電気光学式シーカー、光ファイバー ケーブルによるコマンド誘導を組み合わせたものとされており、発射後にミサイルから送られてくる映像をもとに誘導することができる。

M-2010がBTR-80と同じスペックだとすれば、Bulsae-4の最高速度は90km/h、走行距離は最大600kmになる。

発見された車両は6発のミサイルを発射して、撤収したとの事だが、別の地点でも目撃されており、それはウクライナ軍のAS-90 155mm自走榴弾砲によって破壊されたとされている。

北朝鮮の支援が一段階引き揚げられた?

この画像だけでBulsae-4とは確証できないが、もし事実だとすれば、北朝鮮によるロシアへの軍事支援は一段グレードアップしたことになる。北朝鮮による軍事支援はこれまで何度も伝えられており、韓国やアメリカの諜報機関も確認。ウクライナでは北朝鮮製を示すミサイルの残骸も確認されている。しかし、これまでの支援は砲弾やミサイルに限られていた。だが、今年6月にプーチン大統領が24年ぶりに北朝鮮を公式訪問、金正恩総書記と首脳会談を行い、有事の相互軍事支援を含む「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結した。ロシアは今、まさに有事であり、この条約に基づき、北朝鮮が支援内容を一段引き上げると噂されている。ロシア軍は犠牲を顧みない物量任せの突撃を繰り返しているとされ、車両の損失が大きく、国内工場はフル稼働で生産を行っているが、現状、生産数よりも損失が上回っている。これらを補うためにロシアが北朝鮮に車両の供与を要請した可能性は高い。ソ連の支援を受けて建国された北朝鮮の軍用車両のほとんどはソ連製、またはそれをベースに開発されたもので、設計や操縦系統に大きな違いはなくロシア兵への訓練は最小限で済み、修理やメンテナンスもロシア国内で可能だ。旧式ばかりだが、北朝鮮は大量の戦闘車両を保有している。もし、北朝鮮が全面的に車両提供に踏み切れば、ウクライナにとっては厄介な事になる。

ウクライナの戦場で確認された北朝鮮の対戦車ミサイル車両Bulsae-4
最新情報をチェックしよう!
>戦車の情報を中心に発信するワールドタンクニュース

戦車の情報を中心に発信するワールドタンクニュース

戦車、戦闘車、装甲車といった世界の軍の地上車両のニュース情報を発信します。

CTR IMG