陸自の次期装甲車AMV XP、9月から日本で生産開始

陸自の次期装甲車AMV XP、9月から日本で生産開始
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陸上自衛隊の次期装甲車として採用が決定している装輪装甲車AMV XPの生産が9月から日本製鋼所の工場で始まるとAMVの開発生産元であるフィンランドのパトリア社が発表した。

Patria’s vehicle production will soon start in Japan

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フィンランドのパトリア社は5月16日のプレスリリースにおいて、パトリアAMV XP 8×8装甲車両の日本国内における生産を本年9月より開始することを発表した。陸上自衛隊が採用した次期装甲車であるAMV XPは、日本製鋼所とのライセンス契約に基づき国内生産される。パトリア社の技術移転マネージャーであるヤンネ・プルッキネン氏によれば、日本国内における生産プロセスは、フィンランドからの部品及びサブアセンブリの輸入による車両組立、いわゆるノックダウン方式から開始される。同氏は、「パートナーの能力向上に合わせ、日本国内における生産規模を拡大していく予定です」と述べている。

パトリア社によると、日本製鋼所の16~20名からなるプロジェクトチームが、日本での生産準備のため、ハメーンリンナにて5ヶ月間、パトリア社の車両製造について研修を受けた。プルッキネン氏によれば、研修は英語で行われたが、日本チームには有能な通訳がいたという。同氏は日本チームの熱意と明るさを特筆し、彼らが車両製造を学ぶことに強い関心を示していたと述べた。研修中、日本チームはパトリアの専門家と整備士の指導のもと、車両1台を組み立てた。この車両は最終検証と試運転を完了しており、装備の取り付け後、日本へ納車される予定で、最初の納入車両となるとのことである。日本での生産準備は順調に進んでおり、日本製鋼所は9月から車両の組立を開始する予定である。2024年の情報では、生産ラインの着工は2024年中に始まり2025年に完了、最初の連続生産は2026年に開始される予定であったが、今回の情報から、当初の予定よりも前倒しされていることがわかる。現在、組立施設は秋の稼働開始に向けて最終調整中である。

当初、北海道の室蘭工場での生産が報じられたパトリアAMVは、現在幕張で開催中の防衛展示会DSEIジャパンにおいて、同社広報担当者より広島工場で生産されると発表があった。生産開始当初は、パトリア社から専門家が派遣され、フィンランド製部品を用いたノックダウン方式で組み立てられるが、将来的には日本製鋼所の下請け企業ネットワークを活用し、国産部品を用いた製造に移行する見込みである。生産される基本モデルは人員輸送型だが、パトリアNEMO迫撃砲システムや同社プラットフォームを基にした特殊車両の開発を含む、協力関係拡大の協議も行われたという。

AMV XP装輪装甲車

日本製鋼所がパトリアと陸自の新型装甲車AMV XPの製造についてライセンス契約を締結
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陸自の次期装輪装甲車の候補の一つ”パトリア AMV XP”

陸上自衛隊は、96式装輪装甲兵員輸送車の後継として、フィンランドのパトリアAMV XP 8×8を2022年12月に採用した。パトリア社は2023年8月、日本製鋼所と国内生産に関するライセンス契約を締結している。防衛省は「次期装輪装甲車(人員輸送型)」の取得に向け、令和5年度(2023年)に26両分の136億円、令和6年度(2024年)には28両分の200億円の予算を計上しており、最終的に810両の取得を目指している。

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