台湾国防部は軍が使用する多目的軽戦術車両「Storm3(ストーム3)」に中国製部品の使用が発覚したため、同車両のメンテナンスを請け負っていた企業との保守契約を終了しました。
台湾タイムズの報道によれば、8月1日、国防部は台湾企業のイダノ社(壹達諾汽車系統有限公司)が供給する多目的軽戦術車両ストーム3の部品に中国製部品が含まれていることが発覚したため、同社との保守契約を終了したことを発表しました。陸軍は5月に発表された内部報告書を基にこの件について調査していました。同社は国防部から軍の車両にメンテナンスと修理サービス、近代化改修を提供する契約を結んでいました。
今回の件の発見は、車両に取り付けられたいくつかの新しい部品の品質が低いという、兵士たちが不満を漏らしたことから始まっています。
ストーム3はもともと、イスラエルのAILがイスラエル軍向けに2008年に開発した多目的車両です。高出力、加速性、優れたオフロード機動性を備え、軍の様々なミッションに応えることができます。台湾はM151ジープとハンヴィーに代わる車両としてストーム3の採用を決定。2009年にAILと国内の三陽工業と契約し、軍向けの生産をスタートします。しかし、ヘッドライトが軍の基準を満たさないなどの生産上の問題に悩まされ、車両の初期納入は当初の2011年の予定から2015年末まで遅れましす。これまで述べ3500台以上が納入されています。
そして、昨年11月にストーム3を近代化するために、国防部はイダノ社に2億新台湾ドル(9億円)相当の契約を与えました。しかし、同社はこれだけの規模の改修を担う企業規模が無く、当初から自動車部品を下請け業者に外注しなければならなかったことから、政府内から懸念の声が上がっていました。今回、その懸念が的中した形です。アメリカでは昨年8月に第5世代ステルス戦闘機F-35に、未許可の中国製部品が使われていることが明らかになり、新たな機体の受領を停止するなど、安全保障に関わる軍用装備に関して中国排除が進んでいます。
Source
https://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2023/08/02/2003804103