トルコメディアの報道によると、同国の車輛メーカーNurolMakinaが開発する装輪戦術装甲車両「NMS(トルコ名: Yörük )4×4軽装甲車」が防衛装備庁と自衛隊が検討を進める「次期軽装甲機動車」選定の最終選考に残った5台のうちの1台になったことが分かりました。NMSが入札を勝ち取った場合、トルコから日本への初の軍用車の輸出となります。
NurolMakinaとは
NurolMakina(ヌロル・マキナ)社は日本ではあまり聞かない会社ですが、戦術装甲車両・プラットフォームを開発製造するトルコの軍需企業でトルコ軍はもちろん、海外の多くの軍に車両を提供するグローバル企業です。2008年に登場したNurol Ejderシリーズはトルコ、カタール、セネガル、ウズベキスタン、ハンガリーなど10カ国以上の軍で採用されるなど、世界的に評価の高い軍用車両を開発しています。
NMS 4×4
NMS 4×4は2017年5月にトルコのイスタンブールで開催された国際防衛産業フェア(IDEF)で初登場した新しい車両です。2019年に日本で初めて開催された大規模な防衛・セキュリティ総合展示会イベントであるDSEIジャパンでもNMSは展示されました。 カタールやクェート、チュニジアなど既にいくつかの国で採用実績がある車両になります。
車体の全長は4.9m、幅2.4m、最高速度140km/hは防衛装備庁が求める全長6.5m未満、幅2.6m未満、最大速度100km/h以上という要件をクリアしています。300馬力のディーゼルエンジンを搭載し補給なしで最大700kmの走行を可能をとし、40%の傾斜、幅0.9mの溝、水深90cmの浅瀬、高さ0.5mの障害物を走破することができ、アフリカや中東での人気が高いことからも分かるように、悪路を苦にしません。前部に2席、2列目に3人のりの座席、その後方のキャビンに4人と最大9人が乗車可能です。車体重量は8,000kgで最大積載量は4,000kgです。
装甲・保護
防弾ガラスのフロント、2列両側には防弾窓を含む装甲化されたドアが取り付けられています。車体の後部と両側も同様です。車体底のV字構造のモノコックボディはMRAPレベルの耐地雷・伏撃防護を提供し、地雷やIED(即席仕掛け爆弾)から保護します。装甲の追加も可能で戦場環境に応じて保護レベルを変更できます。その他、発煙弾発射器、消火システムを搭載しています。これらの装甲システムはNATO基準をクリアしています。
武装
NMSには7.62mm・12.7mm機関銃、40mmグレネードランチャー、防空システム、対空兵器システムの搭載が可能です。これらは遠隔兵器ステーションによって、車内から遠隔操作することも可能です。
モジュラー構造
NMSの最大の特徴はモジュラープラットフォームを採用しているです。統一されたプラットフォームで様々な保護レベルと武装を提供するなどミッション要件に応じたフレキシブルな換装が可能で、大きく偵察車両、人員運搬車、防空システム車両と3つのタイプに換装できます。
NMSが日本に輸出されたという情報はないので、車体を購入しての評価試験はこれからになると思われます。最近のトルコのアメリカ、NATOとの関係悪化を考えるとNMSが採用される可能性は低いでしょう。
Source
https://www.nurolmakina.com.tr/en/nms-4×4-en
https://www.dailysabah.com/business/defense/turkish-yoruk-4×4-among-5-finalists-in-japanese-armored-vehicle-tender
https://www.aa.com.tr/tr/bilim-teknoloji/turk-zirhlisi-yoruk-4x4un-pikap-versiyonu-geliyor/2332138