
ウクライナの防衛企業UkrArmoTechは、トヨタ自動車のランドクルーザー LC79を基盤として開発した新型装甲車両「UAT-TISA」を、この度納入したことを発表いたしました。
この新型装甲車両「UAT-TISA(ティサ)」は、UkrArmoTechがトヨタ・ランドクルーザー LC79のシャーシをベースに開発した、軽量かつ高機動性を誇る多用途装甲車だ。2025年5月末にウクライナ国防軍へ初めて納入され、既に前線での運用が開始されている。本車両は、兵員輸送、偵察、物資輸送など、多岐にわたる任務への対応を目的として設計された。同社はこれまで、トヨタ自動車製の車両を基盤として、多数の軍用車両開発を手掛けてきた。
スペック
民間車両ベースにしながら、NATO STANAG 4569 レベル1に準拠した装甲強度を有し、7.62×51mm弾や155mm砲弾の破片から乗員を保護。内装には対破片ライナーを使用し、耐地雷性能も強化されており、車体下部は3kg爆薬の爆発に耐えうる設計となっている。また、装甲カプセル構造により、乗員をエンジンや燃料タンクから隔離し、安全性を向上させている。その他、ルーフには防護シールド付きの回転式機関銃マウント、夜間走行用の特殊ヘッドライト(ライトマスキングモード)、ランフラットタイヤが装備されている。オプションとして、夜間視認用カメラ、電子戦装置、衛星ナビゲーション、VHF無線機の追加が可能であり、兵員輸送、偵察、物資輸送、電子戦など、任務に応じた装備の追加が容易となっている。
ランドクルーザーをベースとしているため、オフロードにおける機動性は高く、強化シャーシにより悪路での走破性は更に向上している。整地での最高速度は時速130km、航続距離は1000km以上を誇り、補給線の確保が困難な地域においても作戦行動が可能だ。
UAT-TISAは、2025年2月にアブダビで開催されたIDEX 2025防衛展示会で初公開され、同年5月末にウクライナ国防軍への初回納入が完了した。現在、国家警備隊や国境警備隊への配備も進められており、将来的には緊急対応車両としての派生型の開発も計画されている。同社によれば、「UAT-TISAは完全なフィールドテストサイクルに合格し、ウクライナで正式に法制化され、NATO在庫番号(NSN)を取得しました。」とのことであり、NATOシステムとの互換性を持つ本車両は、将来的なNATO加盟国及び海外への販売も期待されている。