米国、ウクライナのために5倍の値段で60門のゲパルト対空自走砲を購入

アメリカはウクライナに供与するために中東ヨルダンが保有するゲパルト対空自走砲をヨルダンが2013年に購入した価格の5倍の値段で購入している。

アメリカ国防総省がウクライナに供与するため、ヨルダンから60門のゲパルト自走対空砲を購入したと、13日オランダの新聞デ・テレグラーフが匿名の情報筋の話として報じた。

ゲパルトはもともと、ドイツで開発されたものだが、ヨルダンが購入したものはオランダで生産され、オランダ軍で使用されていたもの。2006年に退役し、2013年に2100万ユーロでヨルダンに売却されてた。それから10年後、アメリカはそれらを1億1,000万ユーロ、ヨルダンが購入した当時の価格の5倍で購入した形だ。

兵器は通常、購入元が第三者に売却する際は生産元・販売元の了承が必要であり、今回の取引についてはオランダ国防省も承知と思われるが、デ・テレグラーフの取材に対し、この兵器がウクライナで使用するために転売されたことについてはコメントしていない。しかし、おそらく昨今の状況を踏まえれば60門という数をアメリカが購入したのであればウクライナためと推測するのが妥当だろう。5倍という価格について、オランダ国防省の広報担当者は、ヨルダンへ売却した当時は適正価格であり、現在は「地政学的な状況」が変化しており、それがゲパルトの価値に影響を与えていると語った。

戦闘機が高速化し、防空ミサイルが発展した1990年代以降、対空自走砲の需要は薄れ、各国で退役が進み、多くは予備役として保管、または中堅、途上国に売却された。しかし、戦場でのドローンの活用が増えた今、対空自走砲の需要は増しており、価格の高騰はそういった背景もあるかもしれない。何門売却されたか公式な数字は明かされていないが、価格からしてヨルダン軍が保有していた、すべてのゲパルトが売却されたと推測される。そのため、ゲパルトの35mm機関砲用の砲弾もセットと考えられる。

ウクライナにドイツから45門のゲパルトが供与されており、ヨルダンの60門が合わされば、その数は100門を超えることになり、ロシアのドローン攻撃に対する防空網はより強化される。

ゲパルト対空自走砲

ゲパルト自走対空砲は西ドイツ時代の1970年代に開発され、1976年に西ドイツ軍に配備された対空兵器。2人乗りの電動砲塔には、Oerlikon KDA35mm砲2門を装備。この35mm砲の発射速度は1分間に1,100発(各550発)を誇る。通常の装填は320発の対空弾、20発の徹甲弾になり、この他、初速1,400m/sを超えるFAPDS弾も使用できる。

ゲパルトには独立した捜索レーダーと追跡レーダーが搭載され、探知距離は15km。探知された標的はデジタル射撃統制システムによって処理され照準、追跡する。シャーシは当時の主力戦車であったレオパルド1をベースにした強固な装甲に防御用に8つの排煙器を装備している。車両の機動性は高く最高速度65km/h、550kmの行動距離を有する。高速化した現代の戦闘機には通用しないが低速のドローンに対しては有効で、ウクライナでも成果を上げている。

Source

’Dit is hét perfecte wapen tegen drones’ | Binnenland | Telegraaf.nl

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