イスラエルの最強戦車メルカバが破壊される。パレスチナは無傷で鹵獲も

イスラエルの最強戦車メルカバが破壊される。パレスチナは無傷で鹵獲も

10月7日に始まったパレスチナによるイスラエルへの地上侵攻。イスラエルは同日、戦争状態を宣言、本格的な交戦に突入した。当日はユダヤ教の安息日であり、イスラエル側も虚を突かれたのか、ガザ地区との境界線にあった検問所は制圧され、複数のイスラエル兵が殺害、または捕虜となった。そして、生存性においては世界最高と言われたイスラエル国防軍(IDF)のメルカバ戦車も複数、破壊されているのが確認されている。

燃える戦車の上で歓喜するパレスチナ人。彼らが乗っているのはガザ地区との検問所に配備されていたIDFの主力戦車メルカバだ。しかもいくつかあるメルカバシリーズの中で配備されているものとしては最新モデルのメルカバMk4になる。メルカバは人口の少ないイスラエルの国事情を考え、攻撃を受けても乗員が生存できるよう設計され、装甲が強いことで有名。更にMk4には世界最高のアクティブ保護システム(APS)「トロフィー」が搭載されており、対戦車ミサイルや砲弾から車両を保護する。なので、そう簡単に撃破されない作りになっている。それが破壊されたのだ。しかも、相手は正規軍ではなく、武装組織、テロリストである。では、どうやって彼らはメルカバを破壊したのか。その映像も公開されている。

メルカバはどうやらドローンによるトップアタックによってやられたようだ。ハマスはドローンを使って戦車で最も弱いとされる上面に対戦車ロケット弾のPG-7VRを投下。メルカバは火を噴いた。ウクライナとロシアの戦争でもよく見た光景だ。メルカバの破壊によって、対戦車にドローンの活用が有効であることがまざまざと見せつけられた。ただ、乗員は生き残っていたようなので、生存性においては十分効果を発揮している。

ただ、これ以外にも対戦車ロケットRPG-7からの攻撃を受けているメルカバMk4が確認されている。ここで気になるのが、どちらもAPSが起動していない点だ。Mk4は全ての車両がAPSのトロフィーを搭載する改修を受けてMk4Mになっている。なので、攻撃を受けたこの車両にも搭載されている筈だ。

そして、今回、メルカバは破壊だけではなく、パレスチナ側に無傷で鹵獲されている。しかもMk4である。奇襲を受けたIDFは車両を放棄して退却したようだ。これ以外にも二世代前のMk2の放棄も確認されており、これまで少なくとも2両のMk4が破壊ないしは損傷し、Mk4とMk2各1両の2両が放棄鹵獲されている。戦車以外にもいくつかの車両が鹵獲されている。ただ、メルカバをパレスチナ側が扱えるのかは不明だ。戦車は車ほど単純ではない。また、これをイランなど他国に輸送、売り飛ばそうと思っても、国外に持ち出すことは難しいだろう。

メルカバ戦車とは

メルカバ5主力戦車の量産がスタート、2023年から配備開始
IDF

メルカバはイスラエルが戦った四度の中東戦争での経験をもとに開発された主力戦車(MBT)。イスラエル、中東という荒廃した砂漠の地形に最適化、そして、イスラエルという小国が戦いを継続する上で死傷者を極力抑えることを目的に1970年代に開発が始まり、1979年からイスラエル国防軍(IDF)で運用が始まった。当初、2.5世代戦車として開発された戦車も、その後、4度の大きな改修を経て、現在の最新のMarkIVは3.5世代相当の能力を有する。主砲は44口径120 mm 滑腔砲、副武装に12.7mm機銃1挺、7.62mm機銃2挺、60mm迫撃砲1門を対人装備が多いのも特徴。モジュール装甲に世界でも最も評価が高いとされるアクティブ防護システム(APS)のトロフィーを装備するなど防御力が高く、また、戦車では珍しい、車体後方に扉を設けており、基本はここから乗り降りし、被弾時でも安全に退避できる。その他、軍事技術大国であるイスラエルの技術がふんだんに盛り込まれており、世界で最も優れた主力戦車の一つでもある。

イスラエルの最強戦車メルカバが破壊される。パレスチナは無傷で鹵獲も
最新情報をチェックしよう!
>戦車の情報を中心に発信するワールドタンクニュース

戦車の情報を中心に発信するワールドタンクニュース

戦車、戦闘車、装甲車といった世界の軍の地上車両のニュース情報を発信します。

CTR IMG