HIMARSよりも射程の長いウクライナ国産のVilkha多連装ロケットシステム

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ウクライナ軍の反撃を支える高機動多連装ロケットシステムHIMARS。HIMARSばかりに注目が集まりがちですが実はウクライナには国産の多連装ロケットシステム”Vilkha”があり、Vilkhaの使用についてはこれまでほとんど報道されていませんでしたが、今年3月、ウクライナ国防産業協会の初代副会長が昨年2022年5月からVilkhaを使用していたことを明らかにしました。しかも、VilkhaはHIMARSよりも長い射程を有しています。

Vilkha

Vilkhaは2010年代にウクライナ国営の軍需企業「キーウ国家設計局ルーチ」で開発された自走式の多連装誘導ロケットシステムで、2018年からウクライナ陸軍で使用されています。Vilkhaはソ連時代に開発された300mm多連装ロケットシステムBM-30 Smerchをベースにしており、同兵器はウクライナを侵攻するロシア軍も使用しています。4人乗り、最大速度100km/hの8輪式のトラックシャーシに12連式のロケットランチャーを搭載。これはHIMARSの6連式の倍で、45秒間で全弾を発射できます。

ロケット弾

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Vilkhaには3つのロケット弾があり、最大射程70kmのVilkha、130kmのVilkha-M、そして現在開発中の最大射程141kmのVilkha-M2があります。現在、ウクライナ軍使用しているHIMARSのロケット弾GMLRSは最大射程80~90kmなので、Vilkha-Mで1.5倍の射程を有することになります。ウクライナにはHIMARSで使用する射程150kmのGLSDBが提供されることが決定していますが、現状ではVilkhaの方が射程ではHIMARSを上回っています。また弾頭重量はV​​ilkha-Mの場合、220kgで最大射程110km、170kgで130kmとどちらもGMLRS、GLSDBよりも多くの弾薬を搭載でき、威力も上です。開発中のVilkha-M2の場合、170kgで射程は200kmまで伸びるので、どのみちGLSDBを超えて最長のロケットシステムになります。Vilkha-M2は近々、実戦でテストされる予定です。

誘導方式

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Vilkhaには自動と手動で操作できる新しい自動射撃管制システムを備えており、システムは、発射管の方位角の自律的な決定を可能にします。ロケット弾の経路と位置、および目的地と移動経路は、車内のビデオ端末にグラフィックスの形で視覚的に表示されます。誘導方式についてはGPS誘導のHIMARSに対し、VilkhaはGPSに依存しない誘導方式を採用、そのため、妨害にも強いとされますが、その詳細な誘導方式については慣性補正システム以外明かされていません。「では、精度が悪いのでは?」と勘ぐってしまいますが、公表されている平均誤差半径(CEP)は10~30mです。

ウクライナはこれまでに約100台のVilkhaを生産したとされますが、何台が運用中なのかは不明です。

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