ウクライナで興味深いロシア軍の車両が無傷で鹵獲されました。それが野砲といった砲兵の位置を検知して射撃指揮を行う複合レーダーシステム「Zoopark-1」です。
UAF captured Russian 9C18M1 (not sure whether I identified it correctly, need help). pic.twitter.com/DgWuDPy65g
— Kriegsforscher (@OSINTua) March 26, 2022
対砲兵レーダー
Zoopark-1対砲兵レーダーシステムは、「ARK-1 1RL239 Lynx」レーダーシステムの後継として、1980年代に旧ソビエト連邦によって開発が始まり、1992年から運用始まったレーダーシステムです。ウクライナで鹵獲されたのは2013年にバージョンアップされた「Zoopark-1M 1L261」になります。
Zoopark-1には高度なフェーズドアレイレーダーが搭載され、野砲、迫撃砲、榴弾砲、ミサイルランチャー、戦術ミサイルシステムなどの敵の砲兵から放たれた砲弾を自動的に検知、弾道を計算し、発射位置の座標を割り出し、砲兵の位置を検知するように設計されています。軽装甲のMT-LBトラックのシャーシに取り付けられており、最大60 km/hのオフロード速度、水陸両用という高い機動性と展開力を持っています。
最大45km先の発射体を検出
レーダーシステムは完全に独立したシステムになり、セットアップにかかる時間は5分です。レーダーは最大17kmの距離で82~120mmの迫撃砲、12kmの距離で105〜155mm砲の砲弾、22kmの距離で複数のミサイル、最大45kmの距離で戦術弾道ミサイルを検出できます。レーダーは最大12のターゲットを同時に追跡し、1分間に最大70の発射位置を検出、得られた弾道データーから約20秒で砲兵の位置を割り出します。
バージョンアップされたZoopark-1M 1L261では検出範囲が拡大し、23kmの距離にある203mm砲、27kmの距離にある155mm砲、32〜45kmの距離にあるミサイル、65kmの距離で戦術弾道ミサイルを検出できます。
検出された座標データーは射撃管制システムのコマンドポストに送信、自軍の砲兵にデータは共有され、反撃を支援します。
ちなみにウクライナもZoopark-1をベースにZoopark-2、Zoopark-3を開発運用しています。