戦車をセンサー化!ドローン対策にレオパルト2にAESAレーダーを搭載

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スペイン陸軍は主力戦車であるレオパルト2に対し、アクティブ・フェイズドアレイレーダー(AESA)を搭載し、空中脅威を検知する事に成功した。これは近年の戦場における主要な脅威であるドローンへの対策を目的とするものである。

Indra successfully tests its NEMUS active radar on Leopard battle tanks

スペイン陸軍は、インドラ・テクノロジーズ社との提携の下、同社の新型小型Nemusアクティブ・フェイズドアレイレーダー(AESA)とレオパルド2戦車との統合試験を実施した。サラゴサに所在するスペイン陸軍機甲部隊訓練センターにて行われた本テストでは、レオパルド2A4戦車の砲塔前面に搭載された2基のNemusが、ドローン、飛翔体、その他対戦車脅威をリアルタイムで検知、識別、追跡する能力が試験された。この試験の目的は、Nemusがレオパルド・プラットフォームに統合可能であることを確認することであり、テストは成功裏に終了した。同様のテストは昨年2024年7月にも行われており、今回は2回目だった。

ヨーロッパにおいて同クラスで最も先進的なシステムであるNemusは、小型かつ軽量なAESA電子走査レーダーを基盤としており、機械化車両や戦車への搭載を想定している。対戦車ミサイルや擲弾発射装置から超音速に達する兵器に至るまで、ドローン、マイクロドローン、あらゆる種類の発射体を検出し、識別、追跡し、これらを無力化するために必要な対抗手段を発動するように設計されている。本システムは、偽の標的を識別し、妨害技術を用いた敵の妨害行為に対抗するための高度な情報機能を備える。また、極度の湿気、寒冷、高温といった厳しい気象条件においても動作可能であるという点で、他のシステムとは一線を画している。

本計画は、「多目的戦場センサー化」及び「ネットワーク戦闘対応」を目的とした近代化構想の一環として、戦車を単なる火力投射プラットフォームとして捉えるのではなく、センサー並びに指揮・警戒ノードとして機能させることを企図するものである。特に、近年の戦車に対する重大な脅威となっている無人航空機(UAV)・ドローンへの早期発見及び対処が喫緊の課題である現状を踏まえ、その実現を期するものである。

戦車にアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーを搭載することにより、無人航空機(UAV)、迫撃砲弾、ロケット弾、低空飛行型巡航ミサイル等の探知・追跡が可能となる。これにより、地上レベルでの360度全方位警戒能力が飛躍的に向上し、敵の接近や空中脅威に対する即応体制が確立される。戦車は戦闘車両の中でも特に前線に展開される機会が多く、戦車を前方センサー拠点とすることで、最前線において脅威を迅速に検知し、データリンクシステムを介して味方部隊にリアルタイムで情報を共有し、友軍への警告と迎撃を支援する。

現状、Nemusに対応する迎撃システム、アクティブ防護システム(APS)は存在せず、インドラ・テクノロジーズ社はその領域を専門としていないため、提携先を模索している。

戦車や装甲車を「センサーとして活用する」という新たな運用概念は次世代車両において主流となりつつあり、ドローン時代の陸戦において重要な要素となると考えられる。

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