レバノンの武装組織ヒズボラがイラン製の対戦車ミサイルでイスラエル軍の主力戦車メルカバMk Ⅳを攻撃する様子を公開した。動画は対戦車ミサイルに反応するメルカバ戦車のアクティブ保護システム(APS)「トロフィー」が反応する様子が映っているのだが、反応が遅すぎ破壊されたと主張している。
The Spike anti-tank missiles that #Israel sold to #Azerbaijan Republic ended-up in #Iran & its technology was used for development of the #Iranian made Almas anti-tank missile which now is in use of #Hezbollah terrorist organization against #Israeli Merkava IV main battle tanks. pic.twitter.com/eFkJEr8E3y
— Babak Taghvaee – The Crisis Watch (@BabakTaghvaee1) July 20, 2024
レバノンのヒズボラは、イラン製の「Almas-3」対戦車ミサイルを使用して、イスラエル軍の主力戦車であるメルカバMk Ⅳを破壊したと主張する映像を公開した。同ミサイルは赤外線画像シーカーを用いた赤外線ホーミングで弾頭にはカメラが付いており、発射後にミサイルのカメラから送られてくる映像をもとに対象を画像でロックオンできる。そのカメラによって、ミサイルがメルカバに衝突するまでの過程が撮影さらている。ミサイルはメルカバの正面上部にトップアタックするような形で飛翔。映像ではミサイルの接近に気づき、ハッチから車内に身を隠そうとするイスラエル軍の戦車兵、そして、ミサイルを検知し、反応するAPS「トロフィー」が確認できる。しかし、トロフォーの反応が遅すぎて、ミサイルの迎撃が間に合わず、メルカバは破壊されたとヒズボラは主張している。別のカメラ映像では、ミサイルが爆発して煙が上がっている映像が見れる。もし、ヒズボラの主張が事実であればトロフィーの信頼に関わる問題だ。
アクティブ保護システム「Trophy」
「Trophy」はイスラエルの軍需企業ラファエル社によって開発された世界で唯一完全に統合され、戦闘で証明されたアクティブ保護システム(APS)だ。主にロケットやミサイル、迫撃砲などの対装甲兵器、対戦車攻撃の脅威から車両を保護する。搭載された4つのセンサーとレーダーシステムは周囲360度を監視し、攻撃の脅威を即座に検出、自動的に実行されるインターセプターによって飛翔体を撃墜、直撃を防ぐ。世界で最も信頼、実績あるAPSはメルカバの他、アメリカのM1A2エイブラムス、ドイツのレオパルト2A7、イギリスのチャレンジャー3にも搭載されている。
イスラエル側は否定
しかし、イスラエル側はメルカバ戦車の破壊を否定。トロフィーは正常に稼働し、直前でミサイルを撃墜、乗員は全員無事だと主張している。確かに映像だけではメルカバの破壊、ミサイルの直撃を確認する事はできない。そもそもAPSは直撃直前で飛翔体を迎撃するので、映像が途切れた距離で迎撃された可能性もある。直撃されなければ破片や爆風でメルカバの装甲が貫かれることはない。ただ、イスラエル軍、ヒズボラ共に主張を決定的に裏付ける証拠はない。