ロシアは終了していたT-80戦車の生産を再開する

ロシアは生産を終了していたT-80戦車の生産を再開する
T-80U(mod russia)

ロシア唯一の戦車メーカーであるUralvagonzavod(UVZ)のアレクサンダー・ポタポフ最高経営責任者は2001年を最後に生産終了していたT-80主力戦車をゼロから再生産すると述べた。

ロシア国防省傘下のメディア「zvezda」のインタビューに応じたUVZのアレクサンダー・ポタポフCEOは、同社がT-80戦車の製造をゼロから再開すると発表した。同氏は「この任務は価値がある。少なくとも軍は我々の前にそれを設定した。我々は現在、工業省と積極的に協力している。再生産には適切な能力が必要だからだ。」と述べており、軍の求めに応じたものであることを明らかにした。

T-80戦車とは

T-80はソ連時代の1970年代に開発、1975年に量産が始まった第三世代の主力戦車。ロシア戦車では珍しいガスタービンエンジンを搭載しており、高い加速性を有している。初期のT-80はT-64戦車の砲塔を使用していたが、その後、改修を重ね、1978年に登場したT-80Bでは砲塔を一新。新しい複合装甲により、防御力が強化。2A46M-1 125mm滑腔砲は射程5000mの対戦車ミサイルの発射が可能に。1985年に登場したT-80BVではKontact-1、T-80UではKontact-5の両爆発反応装甲が追加され、当初、1000馬力だったエンジンも1250馬力にアップしている。1990年代にT-90戦車が登場すると戦車生産はT-90がメインに。90年代後半にはロシア軍向けの生産は終了。2001年の輸出用の生産を最後に生産ラインは閉じられた。生産は終わったが細かなバージョンアップは行われており、最も新しいモデルは2017年に登場したT-80BVM。Relikt爆発反応装甲、新しい射撃管制装置、主砲、装填装置、エンジンが搭載されている。

ロシアの戦車工場は近代化がメイン

ロシアはこれまで少なくとも2300両以上の主力戦車を失っている。それに伴い、戦車の量産を加速させているが、とはいっても新規生産ではなく、倉庫に眠っていた古い戦車をオーバーホール、近代改修することが主だ。戦場に投入されている戦車としては最新のT-90M戦車もT-90戦車を改修している。完全な新規生産となるとT-14アルマータぐらいしかないが、高度なパーツを多用するT-14の量産は進んでいない。このような状況でT-80をゼロベースから生産できるのかは謎だ。生産ラインを閉じてから20年以上、パーツ製造をしていた下請けもラインは閉じており、これも含めて再稼働させることは容易ではない。例えば1996年に新規生産が終了したアメリカのM1エイブラムス戦車。過去の調査で生産元のGDSLは再生産には56カ月擁すると報告している。それを踏まえるとT-80よりも製造・運用コスト安く、輸出向けに製造が続いているT-90戦車の生産に注力した方が良いのではと思うが、T-80の方がよいという判断にいたった理由が何かあるのだろう。

Source

https://www.forbes.com/sites/davidaxe/2023/09/10/russia-might-restart-production-of-the-t-80-tank-dont-expect-it-to-happen-soon/?sh=dbecefbe8014

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