ロシア軍は損失を補うため2023年に1500両の戦車を補充した

ロシア国防省の発表によれば、ロシア軍は2023年だけで約1500両の戦車を補充しました。

ロシア国営メディアのTASS通信の報道によれば、ロシア国防省の発表として、ロシア軍が2023年に約1500両の戦車を受け取ったと発表。これにより、戦車の充足率84%まで高めたとされています。この他、2023年にロシア軍に納入された兵器として、22,000機以上の無人機、2,200両以上の装甲戦闘車、1,400 台以上のロケットシステムおよび砲兵車両が含まれます。なお、戦車を含め、車両については全てが新規製造されたわけではありません。ロシアは倉庫に大量の旧式戦車、装甲車がモスボールとして眠っており、納入された多くはこれらモスボールされた車両を倉庫から呼び戻し、オーバーホール、近代化改修したものです。

例えば、ロシア軍の中でも最新鋭と言われるT-90M戦車。数十両が2023年に新規にロシア軍に配備されましたが、これらは約300両あったT-90戦車を近代化したもので、実際、200両をT-90Mにする計画を発表しています。また、1960年代に初めて配備されたT-62戦車、そのほとんどは退役していましたが、約800両の近代化計画を発表、ぞくぞくと配備されています。更に数は不明ですが戦後間もない1940年代後半に配備されたT-54/55戦車も戦地に呼び戻していることが確認されています。他の戦車もT-72戦車の近代化であるT-72B3など既存戦車のアップグレードです。ただ、既存車両を使用することでリードタイムを短くし、短期間で大量の戦車の調達が可能となっており、1500両という数は本当かもしれません。それに対し、新規戦車の製造能力には疑問があり、最新鋭戦車のT-14アルマータは結局量産の目途は立っておらず、ウクライナにも実戦試験のためプロトタイプが投入されたという報道がありましたが、数か月で目的を果たしたとして撤退しています。新規生産というと、ロシアはT-80戦車の再生産を発表しています。しかし、2001年を最後に生産終了していた古いモデルあり、ロシア製戦車の中でも異端なガスタービンエンジンを採用。そのため、兵站上問題があるとされ、なぜ、それよりも新しく輸出用の生産ラインが残ってりうT-90戦車ではないのか疑問が残っています。裏を返せば、現在のロシアに戦車を新規生産できる能力は無いと言っていいかもしれません。

既に3分の1を失っている

ロシア軍はこれまでウクライナに約3400両の戦車を投入したとされています。そして、その内、少なくとも2400両を失いました。ロシア軍は侵攻前2000~2500両の戦車を配備していたとされているので、それに照らし合わせれば、侵攻前の戦車部隊は全滅した形です。また、ウクライナ軍参謀本部が発表した最近の戦果発表によると、ロシア軍は最近1カ月の戦闘で400両以上の戦車と3万人近くの兵士を失っています。つまり、ロシア軍が1年間で受け取った戦車の約3分の1を1か月の戦闘で失ったことになります。苦戦を強いるロシア軍は戦法をソ連時代、第二次大戦頃に戻しており、損害を顧みない、無謀な物量作戦を行っています。東部戦線では多大な損害を出していますが、先日にはドネツク州の要衝マリンカを制圧するなど戦果を挙げています。ただ、1か月で数百両の戦車を失うなど、損失に対して供給は間に合っていません。しかし、まだ、ロシアには数千両のモスボール化された戦車が眠っており、質に拘らなければ、大量の戦車を導入する余力があります。

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