第一次世界大戦に登場した戦車9選

  • 2020年9月17日
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  • 戦車
第一次世界大戦に登場した戦車9選
出典:tank museum

1916年、第一次世界大戦の最大の戦いの一つであるフランスでの「ソンムの戦い」。この時、ドイツ軍は大きな鉄の塊が塹壕を乗り越え突進することを目にする。イギリス軍が開発した最新兵器”戦車”だ。当時の戦争は地中に深く掘る塹壕を舞台に繰り広げる塹壕戦がメイン。しかし、塹壕に籠っていては弾は当たらないし、かといって塹壕を飛び出せば敵の格好と的になり、戦場は膠着。それを打破するために投入されたのが、戦車だった。戦車の登場は陸地での戦闘を大きく変わった。
戦車の登場から100年あまり、初期の戦車と比べると現代の戦車は大きく様変わった。第一次世界大戦で登場した世界の戦車を紹介する。

リトル・ウィリー(イギリス)

リトル・ウィリーは史上初の試作戦車。つまり、戦車の始祖だ。イギリスの世界初の戦車マークⅠの開発はこれがなければ成しえなかった、戦車の歴史に語る上で重要な存在。戦車の重量は16トン、2人の乗員によって操縦され、3〜4人の砲手が搭乗した。第一次大戦が開戦した翌年の1915年にウィリアム・フォスター農業機械会社によって開発製造されたが、超壕性能(掘り下げられた壕を超える能力)が低く、量産化はされず戦闘に参加することは無かった。リトル・ウィリーは世界最古の戦車として英国ボービントンの戦車博物館に展示されている。

マークⅠ(イギリス)

リトル・ウィリーをベースに開発された試作2号機ビッグ・ウィリーが原型となって世界初の戦車MarkⅠ誕生した。1915年に開発され、1916年にヨーロッパ戦線に初登場した。塹壕戦の膠着状態を打破するために開発され同戦車はライフル、機関銃といった、ほとんどの小火器に耐えることができ、溝や塹壕の上を通過し、有刺鉄線や柵をなぎ倒した。特徴的な菱形は幅が広く深い塹壕を容易に横断できるために設計された。主な武器は左右の車外側面のスポンソン(張り出し)に収納され、戦場に合わせて6ポンド (57 mm) 砲2門を備えた雄型、ヴィッカース .303(7.7mm)水冷式重機関銃4挺を備えた雌型のいずれかに武装を換装できた。その後マークシリーズはⅨまで開発された。

TAKOM 1/35 第一次世界大戦 重戦車 マーク I メール w/スポンソン用クレーンとフラットトレーラー

マークAホイペット(イギリス)

ホイペット(Whippet)は、素早く俊足なイギリス産の猟犬の犬種の名前からきている。マークⅠが重戦車なら、ホイペットは中戦車に分類され、比較的機敏で操作性に優れていた。2017年末に投入されると、その機動力を活かして斥候や騎兵のような役割を効果的に担い、前線を駆け回っては軽機関銃をて混乱を引き起こした。第一次大戦で導入されたイギリス戦車で最もドイツ軍に損害を与えた戦車でもある。その性能から日本も同戦車を購入し、シベリア出兵に参戦している。

モンモデル 1/35 第一次世界大戦 イギリス中戦車マークAホイペット プラモデル

マークⅣ(イギリス)

マークⅣは第一次世界大戦に登場した中で最も優れた戦車の一つと広く考えられている。重戦車に分類されるマークIV重戦車は、初期のマークI~IIIの改良、進化版であり、非常に有能な戦車であった。これまでの装甲よりもはるかに強固な鋼鉄製装甲を採用し、燃料タンクの位置を従来の内蔵型から外部に変更にすることで車内の容量を増加。Daimler-Foster製の6気筒直列スリーブ弁式ガソリンエンジンを搭載し、当時の戦車としては驚異的な最高時速4マイル (約6.4 km) というスピードを出すことができ、前線への輸送がはるかに容易になった。1917年から戦争終結まで2,000輌が製造された。

タミヤ 1/35 戦車シリーズ No.57 イギリス陸軍 戦車 マークIV メール シングルモーターライズ仕様 プラモデル 30057

シュナイダーCA1

第一次大戦に戦車を開発したのはイギリスだけではない。フランスも優れた戦車を開発して戦場に導入していた。シュナイダーCA1はフランス史上初の戦車であり、マークⅠ同様にヨーロッパ戦線における塹壕戦の膠着状態を打破するために開発された。有刺鉄線を無力化しし、機関銃の攻撃に対抗するために設計されたこの戦車は装甲化された鉄箱であり、マークⅠ同様に側面のスポンソンに75 mm砲や機関銃を搭載を装備していた。エンジンの出力不足など低いなど機能不足もあり、1917年4月の初陣では132輛が投入され、57輛が撃破された。1918年には画期的なルノーFT-17が登場し、主役の座は奪われる。フランスのソミュール戦車博物館に稼働する状態で保管されている。

ホビーボス 1/35 ファイティングビークルシリーズ フランス戦車 シュナイダーCA1装甲型 プラモデル 83862

サン・シャモン(フランス)

サン・シャモンはフランス2つめの戦車でシュナイダーCAよりも大きく、第一次大戦では最も重武装化された戦車。同戦車は世界初の突撃・駆逐戦車の原型となったと考えられており前方には一撃で戦車を破壊できる強力な75mm野砲が搭載されていた。1917年5月に他の戦車と同様に、塹壕戦の膠着状態を打破するために投入するが、短い履帯と長い胴体というアンバランスもあり、塹壕で行動不能に陥るなどして、第一次世界大戦の末期には塹壕戦からは撤退することになる。

ホビーボス 1/35 ファイティングヴィークルシリーズ フランス軍 サン・シャモン突撃戦車 中期型 プラモデル 83859

ルノーFT-17(フランス)

この小型軽量戦車は革命的でマークⅠ戦車同様、その後の戦車の設計に大きな影響を与えた。車両6.5トンの軽戦車で搭乗者は操縦手と車長兼砲手の2名だけとミニマムな設計。この戦車の最も特徴的だったのが回転する装甲砲塔。現代の戦車が当たり前にもっているこの回転砲塔を史上初めて考案し、搭載した。その他にも前部に操縦席、後部にエンジン、主要な武装を砲塔に取り付けるといった現代の戦車の基本設計を初めて取り入れた。日本やアメリカもルノーFTを購入し、その後の戦車開発のベースにした。軍事歴史家の多くはルノーFTを世界初の近代戦車と見なしている。

モンモデル 1/35 フランス軽戦車 FT-17 リベット砲塔 プラモデル

A7V(ドイツ)

イギリス・フランスの戦車に対抗する形で開発されたドイツ初の戦車で第一次世界大戦中に実戦配備された唯一の戦車であった。ドイツにとって英仏の戦車の出現は脅威で、ドイツは早急に戦車を開発の始める。A7Vは重戦車に分類され、重量はルノーFT-17の6.5トンに対し5倍の33トン。その形状は戦車というよりも巨大な鉄の箱。大戦末期の1918年3月に登場し、100輌以上を発注したにももかかわらず、生産能力の問題もあり実際に生産されたのはわずか20台だった。武装は前方に57 mm砲と機関銃6丁を装備していた。戦車には最大25人が搭乗でき、歩兵輸送車の役目も担っていた。

モンモデル 1/35 第一次世界大戦 ドイツA7V戦車 クルップ プラモデル

FIAT2000(イタリア)

今でも現存するイタリアの車メーカー”フィアット社”が開発したイタリア初の戦車。第一次世界大戦で最も重い戦車と呼ばれることもある。重量はドイツのA7Vを凌ぐ40トンで8人から10人の男性が乗り込んだ。タンクには65 mmの大型榴弾砲と補助機関銃が搭載されていた。50輌の生産が命じられた、生産されたのは1917年と1918年に製造された試作品の僅か2輌のみ。実際の戦闘FIAT2000が目撃されることは無かった。戦後、試作品はゲリラと戦うためにリビアに送られ、そこで初めて戦闘能力が高いことが証明されることになる。

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