イギリス軍は未来の戦争を見据え全ての戦車を廃止するかもしれません

イギリス軍は現有戦力を航空戦力とサイバー戦争に焦点を当てて、すべての戦車と重装甲車を放棄するとタイムズ紙が伝えています。軍の大規模な近代化計画の下で、英軍の主力戦車チャレンジャー2とIFV(歩兵戦闘車)はすべて廃止されるかもしれません。

現在の主力戦車であるチャレンジャー2は1998年にアップグレードが行って以降、20年以上大規模な改修を行っていません。その間にドイツのレオパルド2、米軍エイブラムスなどは何度も改修を行い、ロシアは新しい戦車T-14アルマータを開発しています。チャンレンジャー2は既に主要国の主力戦車と比べて機能、装備は老朽化しています。また、主力戦車の平均最高速度が70km/h以上の今、チャレンジャー2は60km/hしか出ません。

しかし、英軍には新規の戦車を開発する、近代化のアップグレードを行う財政的な余裕がありません。今回の新型コロナの影響で来年度の防衛費の削減も予想されます。政府関係者は、「イギリスの安全保障を適切に保護し、国防の利益を再調整するためには、いくつかの大胆な決定を下す必要があると考えています。」と述べています。英国は日本と同じ島国で陸伝いで侵略されることは無く周辺に敵対する国もありません。英国の安全保障の観点から戦車は早急に対応が必要な戦力とは見ておらず、運用コストが高くつくことから、戦車の必要性が薄れています。
近代化計画では航空戦力、無人機、サイバーに重点を置くべきと唱えています。しかし、これは防衛計画の一部の中の議論に過ぎず、まだ確定ではありません。戦車の廃止はリスクが伴います。

戦車をリードしていきた英国

英軍といえば第一次大戦時に世界最初の戦車マークⅠを開発した国です。それから世界の戦車をリードしてきました。1945年に登場したセンチュリオン(写真上)は戦後の第1世代戦車のパイオニアであり、1966年に登場したチーフテン(写真下)は第2世代戦車のモデルとなりました。この時、開発された55口径120mmライフル砲L11A5はNATO軍の戦車に統合されます。高硬度鋼、セラミックプレート、反応性爆薬プレートを使用した複合装甲のチョブハムアーマーもイギリスが開発しました。

1983年にはチャレンジャー1が登場し、湾岸戦争ではイラク軍の戦車に対し圧倒的な戦果を上げ評価を得ます。そしてチャレンジャー1をベースに開発された、現在の主力戦車であるチャレンジャー2が1994年に登場し、2003年のイラク戦争にも参加しています。

https://www.thetimes.co.uk/edition/news/defence-chiefs-face-battleover-plan-to-scrap-tanks-ws87tdgbg
https://www.dailymail.co.uk/news/article-8660069/Military-chiefs-draw-plans-scrap-Britains-tanks.html?fbclid=IwAR1HYoQiNb9lkc9ajPCM-LrRfhuPvsT7TkMhpt4MO4cSdgqFuHSiqp9MJqM

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