ロイド・オースティン米国防長官は19日火曜、ドイツのラムシュタイン空軍基地で、ウクライナが間もなくM1A1エイブラムス戦車を受領すると発表した。具体的な時期は示さなかったが、今月中には最初の車両がウクライナ軍に編入されるかもしれない。
アメリカのバイデン大統領は今年1月に31両のM1A2エイブラムス戦車をウクライナに提供することを表明。しかし、供与スケジュールを早める事も考慮し、3月にはM1A1にダウングレードすることを表明していた。5月末には既にウクライナ兵訓練用のM1A1エイブラムス戦車がドイツに到着、その後、訓練場に運ばれ、6月には戦車兵の訓練が始まっていた。ただ、これはウクライナへの供与用のものではなく、ウクライナに供与される戦車は劣化ウラン装甲など、軍事機密部分を取り除く必要があり、供与用の車両はアメリカ国内で改修作業が行われていた。ウクライナの戦車兵は約10週間の訓練を受ける予定だったので、既に必要な訓練は終えていると思われ、車両の供与と合わせ、M1A1エイブラムスは直ぐに戦線への投入が可能になる。
ただ、いきなり全両供与とはいかず、最初のバッチは6~8両と見込まれている。年内には31両が揃う予定だ。またアメリカは今年後半にM1A1エイブラムス戦車の提供と合わせ劣化ウラン弾を提供する事を表明しており、最初のバッチと合わせ劣化ウラン弾も供与されると思われる。劣化ウラン弾については放射能汚染の危険性など賛否両論があるが国際原子力機関(IAEA)は原子力安全の観点からは重大な放射線影響はないと公言している。
M1A1エイブラムスがどこの部隊、どこの戦線に投入されるのかは今のところ不明だが、東部と南部に戦力が均等に割かれているウクライナ軍の現状に対し、アメリカは南部に戦力を集中するよう苦言を呈していることもあり、ウクライナ軍が進軍を続ける南部ザポリージャ州に投入される可能性が高いかもしれない。ウクライナ軍は南部の戦略上の重要拠点メリトポリまで数十キロの地点に迫っており、ここをおとせば、南部のロシア軍を東西に分断でき、ヘルソンとクリミアを孤立化させることができる。
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