エイタン装輪装甲車|イスラエル軍の新しいAPC

エイタン装輪装甲車|イスラエル軍の新しいAPC
©Elbit systems

Eitan(エイタン)装輪装甲車は老朽化したM113装甲兵員輸送車に代わる車両としてイスラエル国防軍(IDF)が2022年から新しく採用した国産のAPC(装甲兵員輸送車)になります。

7名が戦死し、M113が使用禁止に

M113
IDF

イスラエル国防軍(IDF)は1970年代からAPC(装甲兵員輸送車)として、「戦場のタクシー」とも呼ばれる米国製のM113ファミリーを使用、国内ではチーターを意味するヘブライ語”Bardelas”と呼ばれます。M113はベトナム戦争で活躍、その走破性と輸送力からベストセラーになり、のべ8万両が生産、内6000両がIDFになり、米国に次ぐ運用国になります。しかし、アフガニスタン紛争、イラク戦争に投入されると地雷やIED(即席仕掛け爆弾)、RPGといった兵器に対する脆弱性があらわになり、徐々に被害が拡大してきます。これはIDFにとっても同様でした。2014年、IDFはパレスチナ・ガザ地区に侵攻するプロテクティブ・エッジ作戦にM113を投入、その際、ロケット弾の攻撃を受け、乗っていた兵士7人が戦死。これをうけ、IDFはM113の戦闘への投入を禁止、M113に代わる次期AFV/APCの開発計画を本格的にスタートさせます。

EITAN(エイタン)の開発

イスラエル国防省は国内の軍需企業IMI (Israel Military Industries)と共同で次期APCとしてエイタンの開発をスタート。その後、同じ国内企業のElbit Systems社が引き継ぎます。そして、2016年に初めて車両が公開されます。

スペック

Eitanは、IDF兵士に防護、速度、機動性を向上させるように設計されています。M113の履帯式とは異なり、8輪の装輪式を採用。本格的な装輪式装甲車としてはイスラエル初になります。戦闘重量は35トンと、陸上自衛隊の96式装輪装甲車(14.5t)の倍以上になり、各国の装輪式装甲車と比較しても最重量です。全長約8m、幅2.8〜3m、高さ2.5〜3m。3人の乗組員(運転手、機関銃手、車長)の他に9人の歩兵と計12人を乗せることができます。

武装

武装にはFN MAG7.62mm機関銃と12.7mm機関銃を搭載した遠隔操作兵器ステーション(RWS)のTOMP、同じくRWSで射程2.5~3kmの30mmまたは40mm砲と7.62mm機関銃を搭載した砲塔モデルのTOMA。更にオプションとして2チューブの対戦車ミサイル”スパイクLR1(射程4km)/LR2(10km)”をできるなど、多様な兵装を用意しています。

防御

車体はパッシブ複合装甲モジュールと電子パッシブアクティブシステムの両方を含むシステムによって保護されています。全領域は14.5 x 114 mm弾を遮り、TNT火薬10kgの地雷やIEDから車体と人員を保護します。更にエルビットシステムズ社が誇るアイアン・フィスト・アクティブ防御システムが搭載されており、オープン環境と都市環境の両方の近距離シナリオで360度の保護を提供、独立した光学センサー、追跡レーダーで脅威を検知、迎撃体によって対戦車ミサイル、ロケットランチャーといった脅威を排除します。NBC(核・生物・化学)兵器対処仕様になり、エアコン完備です。

機動力

750馬力のドイツ製エンジンを搭載し、最高速度は90km/h、最高走行距離1000km。さまざまな種類の地形を走行できる走破性、万一パンクしても車両のタイヤは非常用のエアレス推進システムが装備されており、50km/h未満の速度で16kmまで走行することができます。垂直勾配60%または水平勾配30%の地形、高さ80cmの障害物、幅2mの溝、水陸両用ではありませんが水深1.2mの水辺をものともしません。

Source

https://elbitsystems.com/pr-new/israeli-ministry-of-defense-selects-elbit-systems-iron-fist-light-decoupled-active-protection-system-for-the-eitan-afv/

https://www.jpost.com/israel-news/article-709376

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