
Iveco Defence Vehicles (IDV)社は、8輪駆動の新型装甲車「SUPERAV Land」を発表した。これは、水陸両用型「SUPERAV」の陸上戦闘向け派生モデルであり、地上作戦での使用に特化して、機動性、生存性、ミッション適応性が向上している。
IDV社は公式SNSにて、8輪駆動の新型装甲車「SUPERAV Land」を発表した。本車両は、イタリア海軍向けSUPERAVと米海兵隊向けACVの両水陸両用装輪装甲車のプラットフォームを基盤とし、陸上戦闘用途に最適化された派生型であり、現代の陸上戦闘環境への適合性を追求し、設計された。IDV社はSNSで、「米国海兵隊のACV計画とイタリア海軍のVBA計画において選定されたSUPERAV水陸両用プラットフォームの成功を踏まえ、弊社はその製品ポートフォリオに陸上指向型バージョンを追加いたしました。本陸上装甲車は、オリジナルのSUPERAV水陸両用プラットフォームと多くの広範に検証されたソリューションを共有しており、水陸両用プラットフォームとの一連の類似点からも多大な恩恵を受けております。」と述べている。
スペック

SUPERAVは2000年代に開発された8輪駆動の水陸両用装甲車であり、その高い機動性と防御力、そして陸上・水上両用という特徴を持つ。IDVは2011年にBAEシステムズと共同でAmphibious Combat Vehicle(ACV)を開発、これは米海兵隊のAAV7A1の後継車両として採用された。このACVのベースとなったSUPERAVを陸上運用に特化させたものが「SUPERAV Land」である。

SUPERAV Landは、V字型モノコック鋼製車体により、小火器、砲弾の破片、地雷、IEDに対する高い防御力を有する。追加装甲により、更なる生存性向上が可能。Iveco Cursor 16ターボディーゼルエンジン(700馬力、最大トルク3,000Nm)とAllison 4800 SP自動変速機を搭載し、優れた加速性能とオフロード走破性を実現。最高速度105km/h、走行距離700kmはSUPERAVと同じだ。
全長が450mm、高さが190mm短縮されたことで、SUPERAVと比較して小型化し、外観と車体の視認性が低下、オフロード性能が向上した。また、水上航行装備を廃止したことで、その分の重量を装甲に充当し防御力を強化。乗員は3名、兵員輸送能力は8名に減少したが、これは陸上作戦における分隊規模の任務要件に合わせた調整である。900Ahの電力供給能力を持つデジタルベトロニクスシステムを搭載し、各種センサー、通信機器、無人砲塔などの統合が容易である。
遠隔操作兵器ステーションに対応し、最大40mm機関砲を搭載可能なこの装甲車は、基本の装甲兵員輸送車(APC)に加え、指揮車、歩兵戦闘車(IFV)、回収車、救急車といった多様な任務に対応できるモジュラー設計を特徴とする。水陸両用型のSUPERAVを基に開発され、部品の85%以上を共通化しながら陸上作戦に特化した性能を持つ。SUPERAVを採用するイタリアとスペイン、そしてその派生型であるACVを使用するアメリカにとって、この車両は魅力的な選択肢となるだろう。現代の多様な戦場環境に適応できる柔軟性と拡張性を持つ本車両は、各国陸軍にとって有力な選択肢となり得る。