米軍の高機動多用途車HMMWV(ハンヴィー)を開発製造するAMゼネラル社が現在開催されているアメリカ陸軍協会(AUSA)の年次展示会で新しいハンヴィーの次世代モデル「NXT360」を発表しました。2年前のEurosatory 2018でも発表されていましたが、それから、洗練された新モデルになっています。
今のハンヴィーは脆弱
ハンヴィーは1985年より量産が開始され、1989年のパナマ侵攻で戦場デビューし、1991年の湾岸戦争で一躍有名になりました。しかし、2001年のアフガニスタン戦争ではIEDやRPGロケットランチャーに対してハンヴィーの脆弱性あらわになります。例えば、イラク軍はイスラム国の主要都市モスルを奪回するために行った戦闘では2300台ものハンヴィーを失っています。そこで、米軍はハンヴィーの後継となるJLTV(統合軽戦術車両)の検討をすすめます。他社で検討が進んでいますが、AMゼネラルは米軍のニーズを満たすべくNXT360の開発を行いました。
優れた防護力
NXT360はMRAP(エムラップ)といわれる耐地雷・IED(即席爆破装置)防爆装備が備わった装輪装甲車輌と近しい防爆耐性を持つモデルです。装甲は高レベルの運動エネルギーから保護するボルトオンアーマーを装備、窓も透明装甲と呼ばれる防爆ガラスを採用。座席と車両床下にも防爆耐性が施されています。また、これまで射手が身を乗り出し、車上の銃座についていましたが、これも人的被害を増やす要因でした。NXT360はには360°自動マシンガンプラットフォームが搭載され、外に身を乗り出すことなくなく車上の機銃を操作することできます。
デジタルカメラにより後方の視野を確保
NXT360にデジタルカメラが搭載され外の様子を60°~120°の視野で捉えます。それらの映像は助手席、後部座席の高耐久性の低遅延高解像度LEDディスプレイにリアルタイムで映し出させれます。これにより、後部座席防の横と後ろに重い防爆ガラスを装着する必要がありません。
その他、あらゆる気象条件、起伏の多い地形での並外れたスピード、モビリティ、敏捷性。デジタル車両自己診断システムによるメンテナンスの効率化、合理化された車両システム、ミッションによって乗員数とペイロードを変更できる柔軟性など、これまでのハンヴィーの課題を解決し、現代の戦場環境に適合した戦術車両になっています。
これを米軍が採用するかどうかはまだ、未定です。ハンヴィーは多くの国で使用されているので、どこかの軍で正式採用されるのは間違いないでしょう。