2020年9月3日にオーストラリア国防省が公表したプレスリリースによると、オーストラリア軍のProtected Mobile Fires(移動式防御火砲) プロジェクトの入札について、韓国のハンファグループの100%子会社であるハンファ・ディフェンス・オーストラリアを優先入札者と指名しました。これにより、同社が開発製造するK9サンダー 155mm自走榴弾砲(SPH)30台とK10装甲弾補給車両(AARV)15台、及び、それらの支援システムのオーストラリア軍への導入が事実上決定したと見なされています。
7月に発表されたオーストラリアの2020年戦力構成計画によれば、本プロジェクトの予算は最大13億オーストラリアドル(1000億円)と見積もられており、最初の車両の引き渡しは2025年頃と見込まれています。その後、2020年代末に追加車両、2030年代には新機能を盛り込んだアップグレードまで予定されています。これらはオーストラリアの防衛産業基盤の拡大を支援する取り組みの一環として、現地に生産ラインが構築され、車両の製造はオーストラリアで行われる予定です。
K9は世界でも最も売れている自走榴弾砲の一つで、導入されればトルコ軍、ポーランド軍、フィンランド軍、インド軍、ノルウェー軍、エストニア軍に続く7カ国目になります。
K9とK10について
K9 SPHとK10 AARVはハンファによって1999年に量産化始まった自走砲システムです。SPHは52口径155mm榴弾砲を搭載した自走榴弾砲で、最大48発の弾薬容量を備え自動装填により最大毎分6~8発の連射速度に最大射程40kmの射程を誇ります。2018年には発射までの全ての工程を自動化した改良型のK9A1が登場しており、次のK9A2の改良まで計画されています。
K10 AARVは、K9と同じ車両システム上に構築されたK9用の補給車両です。155 mm弾104発を収容し、ロボット化されたシステムによってK9に砲弾を自動で供給します。
Source:https://www.hanwha-defense.co.kr/eng/media/news-view.do?idx=1463