アメリカ陸軍が採用を決めていた新しい戦闘車両で「機動防護火力」を意味する”MPF”の正式名称がM10 Booker(ブッカー)に決定しました。見た目は軽戦車ですが、米陸軍はM10を戦闘車両と定義しています。
As part of the 248th #ArmyBirthday it was my honor to unveil the name of our Mobile Protective Firepower vehicle: the M10 Booker. pic.twitter.com/hsLaQ8fn50
— SMA Michael Grinston (@USArmySMA) June 10, 2023
M10 Bookerは米陸軍が20年ぶりに採用する新型の戦闘車両で当初は機動防護火力を意味する”Mobile Protected Firepower”の頭文字をとって「MPF」と呼ばれていましたが、土曜日にバージニア州フォートベルボアで行われた米陸軍誕生日祝賀会で陸軍トップがMPFの軍での正式名を発表。除幕式でM10とペイントされた車体の砲塔の幕を取ると、そこには「BOOKER」とペイントされていました。
2人の英雄に敬意を表して名付けられた名前
Booker(ブッカー)という名は2人の故人の英雄に敬意を表して名付けられています。一人は1943年に英雄的行為により死後に名誉勲章を授与されたロバート・D・ブッカー二等兵。もう一人が2003年のイラク侵攻で人命を救った功績により死後、殊勲十字章を授与されたステヴォン・A・ブッカー二等軍曹と2人のブッカー氏を称えたものです。D・ブッカー二等兵は第34歩兵師団の歩兵、A・ブッカー二等軍曹は第3歩兵師団の装甲搭乗員で、M10が歩兵に新しい火力をもたらすことから、この2人が選ばれました
「この2人の英雄的兵士の物語は、M10 ブッカー戦闘車両の正確なニーズを明確に示している。兵士たちと地上部隊に新たなレベルの攻撃力をもたらし、兵士たちに高度なレベルの防護を可能にする歩兵攻撃車両を手にすることになる」 と陸軍の調達・兵站・技術担当次官補であるダグ・ブッシュ氏は述べています。
最初のM10 ブッカーは今年11月に陸軍に納入される予定で2025年度の第4四半期までに大隊規模の42両を納入する予定で、2025年にはフルレート生産を開始。最終的に504両の調達を計画しています。早ければ2024年末か2025年初めには最初のM10大隊が立ち上げられる予定で、最終的には空挺部隊を含む軽歩兵旅団の戦闘チームに編入する予定です。
軽戦車ではなく戦闘車両
M10 ブッカーはGDLS社が開発したGriffin II(グリフィン2)がベースです。主砲には既存の戦車兵が使い慣れたM1A2エイブラムスSEPV3戦車をベースにしたXM35 105mm砲を搭載、CITV (車長用独立熱線映像装置)を備えています。ハッチ部分には12.7mm重機関銃が1基搭載。搭乗員は運転手、砲手、戦車長、そして装填手の4人になります。重量は38トンと軽く、C-130、C-17と複数のタイプの輸送機に乗せることが可能で空中投下もできます。「M10 ブッカーは、要塞、砲システム、塹壕を制圧、破壊することで歩兵旅団戦闘チームを支援することを目的とした装甲車両であり、二次的には敵の装甲車両に対する防御を提供することを目的としています。」とグレン・ディーン少将は述べています。
100mm超えの口径を持つ主砲、30トン代の重量とその見た目から、M10 ブッカーは軽戦車に分類されると思いましたがディーン少将は「どれだけ軽戦車(Light Tank)に見えてもM10は戦闘車両(Combat Vehicle)だ」と軽戦車であることを否定、戦闘車両と定義しています。
US Armyアメリカ陸軍は、歩兵旅団戦闘チームの機動性、保護、および直接射撃能力を向上させることを目的とした歩兵旅団戦闘団(Infantry Brigade Combat Team:IBCT)用の機動防護火力「Mobile Pr[…]
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Army unveils the M10 Booker, its first new combat vehicle in two decades | Stars and Stripes