ロシアは次世代の対戦車兵器の研究開発を進めていますが、次世代の対戦車グレネードランチャーは装甲車両の装甲を貫通、破壊することを目的としておらず、他の方法で装甲車を無力化します。
ロシアの携帯対戦車グレネードランチャーと言えば、誰もが知る「RPGシリーズ」です。映画で「RPG！」と叫ぶシーンを何度見た事でしょう。その代表格が「RPG‐7」でベトナム戦争時から60年以上に渡り使用され続けています。ロケット弾は安価で運用は簡単。無誘導弾になり、精度は悪いですが、圧倒的なコスパが魅力です。多くのコピー品が作られ、世界中40カ国以上で使用されています。その後も、より強力な弾頭と射程を備えたRPG-26、RPG‐32などいくつかのモデルが登場しています。RPGシリーズに共通しているのは敵戦車といった装甲車を破壊することを目的にしている点です。もちろん、これはRPGだけではなく、他の対戦車兵器でも同様です。弾頭は成型炸薬を二段構えにしたタンデム弾頭で一段目が爆発反応装甲を起爆させ、二段目が装甲を破壊、貫通します。しかし、新しいグレネードランチャーでは、このような装甲貫通能力や破壊する能力を目的としていません。
現代の戦車は様々な装甲保護システムを装備しており、戦車を止めるためには装甲を破壊するだけでは不十分です。そこでグレネードランチャーが破壊する優先順位を変えました。新しいグレネードランチャーは戦車や装甲車のすべての電子装置、照準装置を無効にし、エンジンを停止させます。このことから、電磁パルス（EMP）攻撃要素が含まれているものと思われます。最新の戦闘装甲車輛は照準もエンジンもほぼ全てデジタル化されており、電子機器が無効化されると車輛自体も無効化されます。これらを無力化させることは装甲を破壊するよりも効果的かもしれません。