ロシア軍、最新対砲兵レーダーYastreb-AVの配備を発表した翌日にウクライナ軍に破壊される

ウクライナ軍は、ロシアが配備を発表したばかりの最新鋭の対砲兵レーダーシステムを破壊しました。

2日火曜日、ロシア国防省は、ウクライナ軍の榴弾砲、ロケット砲システムから放たれた砲弾の軌道を探知するために1K148 Yastreb-AV対砲台レーダーをウクライナに配備したことを明らかにします。ロシアメディアによれば、ヤストレブはロシア軍が保有する最新鋭の対砲兵レーダーシステムです。
Yastreb-AVは、砲撃位置の偵察用に最新のフェーズド アレイ アンテナを搭載。このレーダー複合体はロケット弾、ミサイル、砲弾を自動的に検出、迅速なデータ処理能力により、敵の砲兵陣地の座標を即座に検出し、味方部隊に送信、即応反撃を可能にします。2021年から2022年にかけてテストを終えたばかりで、まだ細かい仕様は確認できていませんが、砲弾の検出範囲は最大40kmとされており、ヤストレブが配備されるまで、最新の対砲兵レーダーシステムだったZoopark-1Mの砲弾検出範囲が23kmだったので大幅に拡大されたことになります。座標の検出誤差もこれまでの30〜40mから5~10mに縮まっており、精度も格段にアップしています。しかし、その高度なレーダーシステムのユニットコストは2億5000万ドルとされており、非常に高額です。

ロシア軍はそれをウクライナに配備した事を2日に発表しましたが、その翌日にウクライナ軍は破壊したことを発表します。破壊される様子はウクライナ軍のドローンによって映像で納められています。ヤストレブへの攻撃手段はウクライナ軍のHIMARSによるロケット弾とされています。ヤストレブがこのHIMARSのロケット弾を検知できていたのかは不明です。ただ、映像にはレーダーを展開する様子も納められているため、もしかしたら、レーダーのセットアップ終わる前に攻撃を受けたのか、若しくは検知できていたが、回避行動がとれなかったのかは分かりません。少なくとも、周囲には対空砲といった護衛車両は見えません。

対砲兵レーダーとは

対砲兵レーダーとは、飛翔する砲弾の弾道を捉えるためのレーダー装置で、 捉えた弾道の軌跡や方角など解析することで、砲弾の発射地点、つまり、敵の砲兵陣地を特定します。地上戦で厄介なのは30キロ以上の射程を誇る重砲システムで、地上戦においては戦車以上に重要な兵器です。標的の座標情報が分かれば程度、正確な砲撃が行え、最近はGPS誘導弾も開発され、ミサイル並みの精度を誇っています。敵の重砲拠点を叩くのは戦闘を行う上で重要で、対砲兵レーダーは発射地点を素早く特定できるので、反撃、砲兵陣地を叩く上で欠かせない装備になり、過酷な砲撃戦が行われているロシア・ウクライナ戦争では両軍共に重宝しています。
しかし、ロシア軍の前線ではこの対砲兵レーダーが足りておらず、ウクライナ軍の砲兵システムに反撃ができないため、地上部隊の大損害につながっています。この状況を昨年7月に指摘したロシア第58連合軍の司令官イワン・ポポフ少将はその職を解任されています。

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