陸上自衛隊がMilrem社の無人車両THeMIS UGVを購入

陸上自衛隊がMilrem社の無人車両THeMIS UGVを購入
©Milrem Robotics

Milrem Robotics(ミルレム・ロボティクス)社は4月16日、同社が開発製造するTHeMIS UGV(無人地上車両)を陸上自衛隊に納入する契約を締結した事を発表した。THeMIS UGVとはどういった車両なのだろう。

エストニアのロボット工学企業であるミルレム・ロボティクス社は3両のTHeMIS UGVを陸上自衛隊に納入する事を発表した。THeMIS UGVは、防衛省が新たに導入した「迅速調達プログラム(Rapid Acquisition Program)」の対象として選定され、陸自の「無人アセット防衛能力」の強化の一環として今後、実証が行われる。

ミルレム・ロボティクス社のCEOは「陸上自衛隊の目標は、人的損失を抑えつつ非対称的な優位性を獲得するために、無人資産による防衛力の抜本的な強化である。日本の陸上自衛隊が、先進的なロボット工学を通じて地上部隊の戦闘効率を高め、能力目標を達成するための支援をするために私たちを選んでくれたことを光栄に思います」と述べ、日本での早期導入に向けて最大限のサポートを行うとしている。

THeMIS UGV

THeMIS UGV は、戦場の兵士の数を減らすことを目的とした多目的無人地上車両 になり、 世界中のさまざまな国との数多くの軍事演習や実地試験に参加し、現場で実証された無人プラットフォームになる。THeMISはオープンアーキテクチャにより、ミッションの性質に応じて装備を換装でき、輸送任務、兵器を搭載しての戦闘、監視諜報活動、負傷者の運搬と様々な状況に迅速に対応できる。

THeMIS の初期のモデルはクボタのディーゼルエンジンとバッテリーを使用していたが、最近の車両にはリチウムイオン電池を備えたより高出力のエンジンが搭載されている。最大速度は20km/hで最大積載重量は1200kg。稼働時間は最大15時間、バッテリー駆動のみの場合は1.5時間になる。最急勾配は60‰。

輸送用では兵士が身体的限界により、追加の装備や重火器の運搬が難しいものを代わりに運ぶことで、携行制限をなくし、兵士の負荷を軽減、追加の装備と火力を運搬および利用する手段を提供する。また、負傷者運搬において担架2台を装着でき、重傷者を迅速に医療施設まで輸送する。

戦闘作戦用に装備を構成すれば、THeMIS UGVは機動部隊に直接火力支援を提供し、歩兵部隊の火力支援として機能し、交戦することが可能だ。7.62mm軽機関銃、12.7mm重機関銃、40mm自動手榴弾発射装置、30mm機関砲、対戦車誘導ミサイルなど、さまざまな兵器を装備できる。30mm機関砲を搭載するEOS R400S-MK2-D-HD 30mm機関砲遠隔兵器システムの最大射程は2km。対戦車誘導ミサイルはジャベリンが搭載でき、最大射程は同じく2kmになる。THeMISに搭載される光学機器は最大12km範囲の敵を検出、4km前後の範囲の敵を捕捉する。自爆ドローンを搭載するCombatモデルではUVision社の自爆徘徊ドローンHero-120を6機搭載するランチャーを搭載。Hero-120は3.5kgの弾頭を搭載、最大60分間飛行し、広大な攻撃範囲とISR能力を提供する。この他にもC-UASプラットフォームを搭載した対ドローンモデルや爆発処理モデルなど多種多様なモデルが存在する。陸上自衛隊がどのモデルを購入したのかは不明だが、少なくとも1台は標準モデルで輸送用のTHeMIS カーゴと推測される。

THeMIS UGVは現在16か国に導入されており、そのうち8か国はNATO加盟国であり、エストニア、フランス、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スペイン、英国、米国が含まれている。米国の同盟国であり、NATOと連携を深める自衛隊にとってはTHeMISは装備の共通性点でメリットは大きい。今後、実証実験を行い、採用の有無が決定する。

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