ロシアの中央研究所burevestnik(ブレベストニック)が開発を進める連結式の自走砲Magnolia(マグノリア)。これはロシアの過酷な北極圏での運用を目的に開発された極地自走砲です。
全地形車両
マグノリアは北極圏向けに特別に開発された全地形車両Vityaz DT-30連結トラックのシャーシに基づいて開発されています。前部コンパートメントには運転室と発電所が収容され、後部コンパートメントには榴弾砲、迫撃砲として機能するユニバーサル120mm砲を備えた戦闘コンパートメントが収容されています。射程は最大8,500mですが、誘導弾を使用することで最大10km先の標的を狙う事ができます。最大80発の弾丸が搭載でき、毎分10発の射撃可能です。副装備として自衛用の遠隔操作できる機銃を車上に配置しています。
Vityaz DT-30
Vityaz DT-30は強力な710馬力のエンジンにより、路上で時速44kmまで加速でき、行動距離は700kmに達します。雪上や泥沼もと過酷な地形をものともせず、‐50度から+40度の環境下で運用可能です。その上、水陸両用で水上を時速5kmで移動するなど高い機動力をほこります。
国土の15%が北極圏
ロシアは北極海大陸棚の約 6 割にあたる270万km2を所有しており、これは国土の15%を占め、日本の約7倍の広さを誇ります。ここには多くの天然資源が眠っているとされ、近年の温暖化により、海氷が減ったことで資源開発を進めるロシアは北極圏におけるプレゼンスを高めるため軍事力を強化しています。だが、温暖化進んだといえど、地球でもっとも過酷な地である北極圏では通常兵器の運用はままなりません。近年、過酷な環境でも運用可能な兵器の開発を進めており、その自走砲版がMagnolia(マグノリア)になります。
マグノリアは現在、開発中であり、2022年にテストを完了、2023年以降に砲兵部隊に配備される予定になっています。