ジェネラル・ダイナミクス・ヨーロピアン・ランド・システムズ(GDELS)とKNDSは新型の自走砲システム「NEMESIS(ネメシス)」を発表した。従来の履帯式自走砲システムに比べて高い機動性と射撃精度を備え、多様な作戦に対応できる柔軟性を持っているとされる。
アメリカの軍需企業大手ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システム(GDLS)のヨーロッパ子会社でスペインに拠点を置くGDELSとドイツ・フランスの合弁会社KNDSは、今月12日から14日までスペインの首都マドリードで開催された「スペイン国際防衛安全保障展示会」(FEINDEF)で、新型の装軌式自走砲システム「NEMESIS(ネメシス)」を初めて公開した。現代の戦場では、対砲兵レーダー、ドローンの進化により、迅速な陣地展開と高精度の火力投射が求められている。従来の自走砲では対応が難しい状況に対処するため、NEMESISは設計されている。
アメリカの軍需企業大手ジェネラル・ダイナミクス・ランド・システム(GDLS)のヨーロッパ子会社でスペインに拠点を置くGDELSとドイツ・フランスの合弁会社KNDSは、スペインで開催されたFEINDEFで新型の装軌式自走砲システム「NEMESIS(ネメシス)」を初公開した。ネメシスは、現代の戦場における対砲兵レーダーやドローンの進化に対応するため、迅速な陣地展開と高精度な火力投射能力を持つように設計されている。
スペック
ネメシスは、オーストリアとスペインが共同開発したASCOD2歩兵戦闘車のシャーシを基盤とし、後部にKNDS製の155mm52口径榴弾砲無人砲モジュール(AGM)を搭載している。AGMは全自動装填射撃装置を備え、わずか2名の乗員による運用が可能だ。人間工学に基づいた設計のコンパートメントは、追加の乗員スペースと完全無人運用への適応性を提供する。360°の有効方位角を持つAGMと高機動な車体により、ネメシスはあらゆる方向への移動射撃、いわゆる「Shoot & Scoot」能力を発揮する。車体には最大30発の砲弾を搭載可能で、最大射撃速度は毎分9発。射程は通常弾で約54km、射程延長弾を用いると70kmに達する。GPSやレーザー測距器を活用した火器管制システムは、精密な目標捕捉と射撃に加え、MRSI(複数弾同時着弾)を可能にする。オプションの直接照準機能は、システムの砲兵能力をさらに向上させる。また、C4Iシステムとの統合により、指揮・統制・通信・情報システムと連携し、リアルタイムな情報共有と指示伝達を実現する。近接防御として、12.7mm機関銃を搭載した遠隔火器ステーションを備え、歩兵やドローンからの脅威に対処する。キャビンは銃弾や砲弾の破片に対し、高い防護力を有している。
シャーシに利用されているASCOD歩兵戦闘車は1000両以上の生産実績があり、信頼性の高いプラットフォームである。ネメシスはこのシャーシを利用し、1100馬力のディーゼルエンジンで駆動する。ASCODの最高速度は72km/h、走行距離は500kmである。
NEMESISは高い機動性、戦闘柔軟性、移動中の射撃能力に優れた自走砲で、今後の進展に注目が集まっているが、現在試作段階にあり、今後の試験や評価を経て、正式な発売が進められる予定だ。将来的には、他の兵器システムとの連携強化や、さらなる自動化・無人化の技術導入が検討されており、地上部隊の火力投射能力の中核を担う存在となることが期待されている。