チェコのボランティアはロシアの自爆ドローンの攻撃に苦しむウクライナに対し、トヨタ・ランドクルーザーにZPU-2対空機関砲を搭載した「Viktor(ヴィクトル)」の提供を行うための370万ユーロの募金キャンペーンを始めました。
Viktor
ウクライナに武器提供を行うために活動する”Gift for Putin”はイラン製の自爆ドローン”Shahed‐136”を使ったロシア軍の攻撃に苦しむウクライナに対し、ドローンに対抗できる兵器の提供を模索。そこで思いついたのが「Viktor」です。ViktorはZPU-2対空機関砲をピックアップトラックに搭載した自走式対空砲です。
ZPU-2
ZPUは第二次大戦後のソ連で開発された牽引式の対空機関砲です。ZPUにはZPU-1、ZPU-2、ZPU-4があり、数字の数はそれぞれ、銃身の数を表しています。つまり、ZPU-2は二連装砲を搭載した機関砲になります。射程2,000m、初速1000m/s、発射速度は各砲分間600発ですが150発に制限されています。徹甲弾、焼夷弾と3種類の弾薬を発射でき、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアで弾薬は今なお製造中です。
1940年代に開発されたZPUは対空兵器としては時代遅れですが、低速で低高度を飛行するドローンやヘリを撃墜する上では有効であることが証明されています。また、14.5×114 mm機関砲は軽装甲の車両にも有効であり、徹甲弾は32mmのRHAを貫通、地上兵器としても役立ちます。各砲には300発装填のマガジン、更に300発の予備マガジンも砲架に搭載。もちろんそれ以上のマガジンを車体に搭載できます。照準システムには、対空照準用の昼夜サイト、そして、地上目標への直接射撃用の照準器が搭載されています
トヨタ・ランドクルーザーに搭載
ZPU-2を搭載するピックアップトラックはトヨタのランドクルーザーです。ご存じのようにランクルは一般の乗用車であり、つまり、Viktorはいわゆるテクニカルと呼ばれる民生品を戦闘車両にカスタマイズした兵器です。しかし、Viktorを製造をするのはチェコの軍用車メーカー「Excalibur Army(エクスカリバー・アーミー)」。同社は戦車や装甲車、DANAといった自走砲などを開発製造している正真正銘の兵器メーカーです。同社が手掛けるViktorは兵器として耐えられるようランクルのサスペンションは強化され、ZPU-2の取り外しと直接射撃を可能にするための専用のアダプターも開発。兵器メーカーが作るViktorは武装組織が作るそんじょそこらのテクニカルとはわけが違います。
”Gift for Putin”はこれまでウクライナ軍に提供するT-72戦車の近代化改修や、榴弾砲の弾薬、偵察ドローン提供のための資金集めを行い、実現させています。今回の「Viktor」キャンペーンでは370万ユーロの資金で15台のViktorの提供を目標にしています。
ViKtor – mobile air defense for Ukraine